看護師が直接応募を選ぶとき。採用側から見たメリットと、動く前に整理すべきこと【元病院人事の視点】

リクルートスーツを着てスマートフォンを操作する就職活動中の女性

Q. 看護師の転職で直接応募は、転職サイトより有利なのでしょうか?

「直接応募の方が採用されやすいと聞いた」

「転職サイトを通すと不利になる?」

こういった話を耳にして、直接応募を検討している看護師は少なくありません。

元病院人事として多くの採用に関わってきた立場からお伝えすると、直接応募が有利かどうかは、状況と病院によって変わります。

ただ、「有利かどうか」を気にするより先に整理すべきことがあります。

それは「直接応募という方法が、今の自分に合っているか」です。

この記事は、直接応募を検討している看護師が「自分に合った転職の進め方」を判断するための整理のページです。

目次

結論:

黒板に「Answer」と書かれたイラスト

状況によっては有利です。ただし「有利かどうか」より「自分に合っているか」で判断する方が重要です。

直接応募には、採用側にとってメリットがある場面があります。

一方で、一人で進めることの負担やリスクも現実としてあります。

どちらが正解かではなく、自分の状況に合った方法を選ぶことが転職の質を左右します。

直接応募はどれくらい使われているか

テーブルの上の付箋に「Data」と書かれたイラスト

まず、現実のデータを確認しておきましょう。

公益社団法人全日本病院協会の調査(2020年)によると、看護師の新規採用ルートは以下のとおりです。

新規採用ルート割合
紹介会社24.8%
自院HP18.1%
病院説明会10.7%
募集広告3.8%
奨学生制度11.2%
知人紹介7.1%
ハローワーク10.3%
ナースバンク2.4%
外国人0.3%
その他11.4%
看護師の新規採用ルート
出典:公益社団法人全日本病院協会「雇用における人材紹介会社に関するアンケート―調査報告―」

自院HP・病院説明会・募集広告を合計すると32.6%になります。

これは紹介会社(24.8%)を上回っており、直接応募で転職している看護師は全体の約3分の1にのぼります。

転職サイトだけが転職の手段ではないことが、データからも確認できます。

出典:公益社団法人全日本病院協会 2020年度「雇用における人材紹介会社に関するアンケート」 調査結果詳細

病院人事の立場から見た直接応募

テーブルの上のメモに「本音」と書かれたイラスト

採用担当として直接応募の候補者を多く見てきた経験から、正直にお伝えします。

直接応募が採用側に好印象を与える場面

  • 病院側が紹介会社との取引をしていない、または少ない場合
  • 候補者の志望理由が具体的で、病院への理解が深い場合
  • 公的病院・自治体病院など、もともと直接応募が主流の採用ルートの場合

こうした場面では、直接応募であること自体が「志望度の高さ」「主体性」として伝わりやすくなります。

また、病院側の視点から言うと、紹介会社経由の採用には年収の20〜30%程度の紹介手数料が発生します。

直接応募の候補者は、その分の採用コストがかかりません。

候補者同士で条件が拮抗している場面では、有利に働くことがあります。

直接応募が必ずしも有利にならない場面

  • 候補者の情報整理や志望動機が不十分な場合
  • 病院側が紹介会社との関係を重視している場合
  • 応募書類や面接の準備が不足している場合

直接応募は「有利な手段」ではなく、「準備次第で有利になれる手段」です。

直接応募が向いている人・向いていない人

「check!」と書かれた付箋と虫眼鏡のイラスト

ここで、直接応募の向き・不向きを簡単に整理していきます。

向いている人

  • 転職先の病院・施設がある程度絞れている
  • 自分のキャリアの方向性が整理できている
  • 情報収集や書類作成を自分で進められる

向いていない人

  • まだ転職するかどうか迷っている段階
  • どんな職場が自分に合うか整理できていない
  • 一人で進めることへの不安が強い

「転職サイトが面倒だから直接応募にしよう」という消極的な理由だけで選ぶのは危険です。

直接応募は、準備と情報収集を自分で担う分、相応の手間と判断が求められます。

一人で進める不安がある方へ

ハートの中に「SUPPORT」と書かれたイラスト

直接応募を選んでも、サポートを受けながら進めることは可能です。

以下のサービスは、転職エージェントを使わない場合でも活用できます。

【無料で使えるサービス】

① ナースセンター

都道府県の看護協会が運営する無料の職業紹介機関です。

求人情報の提供だけでなく、看護専門担当者によるキャリア相談も受けられます。

参考:eナースセンター―都道府県看護協会による無料職業紹介事業―

② ハローワーク

地域の求人情報が集まる公共職業安定所です。

履歴書・職務経歴書の書き方のアドバイスも受けられます。

参考:ハローワーク |厚生労働省

③ キャリア形成・リスキリング支援センター

全国47か所に設置されており、専門のキャリアコンサルタントによる無料のキャリア相談を受けることができます。

参考:キャリア形成・リスキリング推進事業【厚生労働省委託事業】

「一人で全部やらなければいけない」ということはありません。

使える支援を組み合わせながら進めることが大切です。

よくある質問(FAQ)

「Q&A」の文字と色鉛筆のイラスト

直接応募は、転職サイト経由より採用されやすいですか?

一概には言えません。病院によって採用ルートの方針が異なるからです。

ただし、志望度の高さや主体性が伝わりやすい点は、直接応募ならではの強みです。

「有利かどうか」より「志望先がどんな採用方針か」を事前に調べておく方が重要です。

転職サイトを使わずに、一人で進めていけますか?

転職先が絞れていて、自分のキャリアの方向性が整理できているなら十分に進められます。

ただし、情報収集・書類作成・面接対策はすべて自分で行う必要があります。

ナースセンターやハローワーク、キャリアコンサルティングなどの無料サポートを活用しながら進めることをお勧めします。

直接応募と転職サイトを併用してもいいですか?

問題ありません。気になる病院には直接応募しつつ、幅広く情報収集したい場合に転職サイトを併用する方法もあります。

ただし、同じ病院に両方から応募するのは避けましょう。病院側に混乱を与え、印象を損なうことがあります。

まとめ

ブロックで「まとめ」と書かれたイラスト

直接応募は、準備次第で有利になれる方法です。

ただし、万能ということではなく、自分の状況と転職先の採用方針によって向き不向きがあります。

  • 転職先が絞れていて、志望理由が明確なら直接応募は強みになります。
  • まだ迷いがある段階なら、情報収集から始めることが先決です。

転職サイトを使うかどうか迷っている方は、こちらも参考にしてください。

直接応募を選んだとき、心配になるのは面接対応と履歴書作成かもしれません。

面接で受かる人の特徴や、採用担当者が見る履歴書のポイントをこちらの記事で整理していますので、あわせてお読みください。

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この記事を書いた人

吉澤 宏行のアバター 吉澤 宏行 社会保険労務士・医療機関専門コンサルタント

吉澤社労士事務所代表。社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)として、医療機関の労務と人材課題に専門的に携わっています。
医療機関で25年間事務職に従事。総務、経理、医事、健診部門など幅広く経験を積み、2024年4月に独立。地元・東京都日野市にて医療機関専門社労士として活動中。

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