「看護師向いてないかも…」
これは多くの看護師さんが抱える悩みです。
看護師は、責任の伴うハードな仕事です。忙しいなかでも短い時間の中で多くの判断を求められます。思いどおりに仕事が進まないと嘆いている看護師さんもたくさんいるのではないでしょうか。
先の長い看護師人生を考えると、いましっかりと自身の適正を見極めることが大事です。
筆者は元病院人事として、仕事の適正に悩む看護師さんをたくさん見てきました。
本記事では、看護師に向いてないかも…と感じたときに取るべき思考のポイントについて解説します。
この記事を読んで、今後のあなたのキャリアプランや転職活動の参考にしていただけるとうれしいです。
看護師に向いてない?それとも成長過程?
「看護師に向いてないのでは…」
特に経験が浅い看護師さんほど、こうした悩みを抱えてしまいがちです。
自分の看護技術が追いついてないのに後輩の面倒を見つつ、目の前の患者さんのケアもしないと…。
このように日頃から不安や焦りを強く感じている人も多いのではないでしょうか。
これらの日常業務の他にも、委員会活動や勉強会、自身の看護研究にも取り組む必要があります。やっとの思いで一日を乗り越えている人も少なくないでしょう。
ここでは改めて、看護師の適正とは何かについて考えてみたいと思います。
看護師に向いている4つのタイプ
そもそも看護師に向いているタイプとは、どのような人なのでしょうか。
看護師は、健康や実生活など私たちの生命に直接関わることを職業としています。「白衣の天使」と例えられるような、表面上のきれいなイメージだけでは務まりません。
筆者が考える看護師に向いているとは、以下のような人です。
- 向いている①:身に付けた知識を適切に判断できる人
- 向いている②:人に関心を持ちよく観察し理解できる人
- 向いている③:正確で適切な看護技術をもつ人
- 向いている④:自分の心身の健康を保ち磨く努力ができる人
以下、それぞれ解説していきます。
向いている①:身に付けた知識を適切に判断できる人
自分が持っている知識を現場で的確に活かせる人は、患者さんの安全を守り信頼を得ることができます。
向いている②:人に関心を持ちよく観察し理解できる人
患者さんの小さな変化や気持ちに気づける人は、患者さんにより良いケアを提供することができます。
向いている③:正確で適切な看護技術をもつ人
ミスなく処置できる人は、患者さんに安心感を与えることができます。
向いている④:自分の心身の健康を保ち磨く努力ができる人
忙しい中でも自己管理ができる人は、看護師として長く働き続けることができます。
看護師にも色々なタイプがあって当然
看護師に向いている人の4つの特徴について紹介しました。
しかし、紹介した特徴4つとも全て揃っている必要もないと考えます。
患者さんは人それぞれ違います。患者さんごとに疾患も違えば性格も違いますし、患者さんが志向する生活も違います。
看護師にも色々なタイプがあって当然だと考えます。あなたが持っている特性や強みをどこに活かせるかを考えることが大事です。
看護師に向いてない4つのタイプ
それでは反対に、看護師に向いてないとはどのような人なのでしょうか。
筆者は、看護師に向いてないタイプとは、以下のような人のことだと考えます。
- 向いてない①:知識や技術の維持向上に対する継続力がない人
- 向いてない②:人の健康や生活に関心を持てない人
- 向いてない③:手先が不器用で適切な看護技術が発揮できない人
- 向いてない④:周りの助けがあっても心身の健康に不安を抱え解消が難しい人
以下、それぞれ解説します。
向いてない①:知識や技術の維持向上に対する継続力がない人
看護師は、日々の業務や勉強に追われながらもモチベーションを維持し、自己成長への努力をし続けることが求められます。
こうした取り組みが継続的に行えない場合、看護師として勤務を続けることが難しくなると考えられます。
向いてない②:人の健康や生活に関心を持てない人
看護師は、患者さんの生活背景まで関心を示して、それぞれに適した看護を提供する必要があります。
患者さんとのコミュニケーションや生活背景に興味が湧かず、仕事が作業的になりやすい人は看護師に向いているとは言えません。
向いてない③:手先が不器用で適切な看護技術が発揮できない人
技術は経験を重ねることで向上します。
しかし、指導や練習を繰り返してもなお、注射や処置で緊張しやすく、実際に失敗や先輩からの指摘が続く場合、看護師を続けることは難しくなると考えられます。
向いてない④:周りの助けがあっても心身の健康に不安を抱え解消が難しい人
看護師はストレスが多い職種のため、心身の健康問題を抱えやすい職種でもあります。
個人の努力だけでなく、職場のサポートや専門家の助言を活用することが大事になります。
しかし、サポートを受けても疲労や不安が残り、十分に回復できない場合は、別の道を検討する必要があるかもしれません。
誰にでも得意・不得意がある
看護師に向かない4つのタイプについて解説しました。
ただ、例えこれら4つのうち1項目だけ当てはまってしまった場合でも、それですぐに看護師に向いてない、ということにはならないとも考えます。
人は誰でも、得意なこともあれば不得意なこともあります。手先が不器用な人でも、患者に対する観察力が優れていれば、他の人にはできない看護を提供することができるからです。
とは言え、すでに医療現場で感じているかも知れませんが、上記の4つのなかに苦手な項目を感じている人がいるとすれば、その苦手を克服するためにこれからも時間と労力をかけ続ける必要があることは言うまでもありません。
現状を成長過程であると捉え、自身の強みをより発揮し、弱みを補う努力を継続することが重要です。
なぜ看護師に向いてないと感じるのか?

これまで、看護師に向いているタイプと向いてないタイプについて、それぞれ考えてきました。
それでは、なぜ多くの看護師さんが「自分には向いてないかも…」と感じてしまうのでしょうか。
考えられる理由を3点挙げたいと思います。
- 知識やスキル不足からくる不安や焦り
- 命に関わる仕事というプレッシャー
- 人間関係の悩みからくるモチベーションの低下
以下、それぞれ解説したいと思います。
理由➊:知識やスキル不足からくる不安や焦り
自分が看護師に向いてないと感じるのは、おそらく知識や技術面が足りないことから感じる焦りや不安からきている可能性があります。
冒頭でも触れたとおり、経験が浅い看護師さんほど、知識や技術面で不安を抱えつつも、後輩の面倒を見ると同時に目の前の患者さんのケアをしなければなりません。
それに加えて、委員会活動や勉強会の準備などに時間が奪われていきます。今の自分に本当に必要な勉強がなかなか進まず、焦りや不安はますます募るばかりでしょう。
このような環境では、自己効力感が得られない状況が続くため、次第に、看護師に向いてない…と感じてしまうのも無理のないことだと考えます。
理由➋:命に関わる仕事というプレッシャー
看護師という仕事そのものが持つ責任感への不安や、そこから逃れたいという気持ちからきている可能性があります。
医療現場では、日々患者さんに対し、看護の専門家として迅速かつ的確な判断を基にした看護の提供が求められます。
患者さんの前では、新人もベテランもなく、ひとりの看護師として責任をもって業務にあたらなければなりません。
もし医療事故を起こしてしまったときでも、新人だからと言って失敗の言い訳にすることもできません。
患者さんの命に関わる仕事だからこそ、その責任に対するプレッシャーに耐え切れず、自分には向いてないと感じてしまうのかもしれません。
理由➌:人間関係の悩みからくるモチベーションの低下
職場の人間関係に悩み、仕事への意欲が低下していることが看護師に向かないと感じる理由になっているかもしれません。
人の命に関わる医療現場では、看護師個人に対するスキルの要求も高くなります。それは、新人や経験が浅い看護師さんに対しても同じです。
周囲の高い要求に応えることができない場合、医師や先輩看護師などから厳しい言葉が投げかけられることもあるでしょう。
一度そうした経験を持ってしまうと、気持ちに余裕がなくなり、視野も狭くなってミスを繰り返してしまうリスクが高まります。
ミスを繰り返すような状況が続くと、周りからの信頼が得られず、職場での人間関係を良好に保つことが難しくなります。仕事を覚えて周りの期待に応えたくても、こうした精神的に辛い状況ではモチベーションは上がりません。
看護師はそもそもストレスがかかる仕事です。ストレスフルな仕事のうえに、人間関係が悪化することによる高いストレスが重なってしまうと、自信喪失を招き、自分には向いてないと考えてしまうのは無理のないことだと言えます。
看護師に向いてない…と感じたときに実践すべき思考法

前項では、なぜ看護師に向いてないと考えてしまうのか、その理由について考えてきました。
それでは、看護師に向いてないと感じてしまうとき、具体的にどのように対処すればいいのでしょうか。
その対処法を3点挙げたいと思います。
- できない自分ばかり見ない
- 周囲に相談して気持ちを整理する
- 他人の評価と自己評価を切り離して考える
以下、前項の理由に対処する思考法をそれぞれ解説していきます。
思考法➊:できない自分ばかり見ない
知識やスキルが足りないと、できないことばかりが気になります。そんなできない自分に対して、自信など持てるはずがありません。
しかし、「できないこと」ばかり見るのではなく、自分の中で「できていること」を見つけることの方がより重要になります。
あなたが提供する看護のなかでも、できていることは必ずあるはずです。
できていることをひとつひとつ評価していくことで自信につながります。いくら小さなことでも、成功体験の積み重ねは自己効力感を高めるきっかけになります。
このように、気持ちの切り替えを上手に行い、物事を肯定的に捉えることができるようになれば、悩みを引きずることも少なくなるはずです。
看護師に向いてないと感じるとき、どうすればいい?
【理由➊:知識やスキル不足からくる不安や焦り】への対処法は…
⇒できない自分ばかり見ない
なお、経験不足のために看護師を辞めたいと感じたときどのように考えるべきか、特に2年目の看護師に向けて以下の記事で詳しく解説しています。是非ご参考ください。
思考法➋:周囲に相談して気持ちを整理する
看護師という仕事は、緊張感が高いなかでも常に冷静に業務を遂行していくことが求められます。そのため、仕事へのプレッシャーは経験年数に関わらず、ベテラン看護師でも感じていることです。
仕事へのプレッシャーに関する悩みを持つ場合、自分1人で抱え込まずに、プリセプターや話しやすい先輩、同僚などに相談することをおすすめします。
程度の差こそあれ、先輩でも今でも同じ悩みを抱えていると思います。
自分と同じ境遇を少なからず経験しているはずですので、ざっくばらんに今の気持ちを共有することで、有効なアドバイスがもらえることが期待できます。
人に話を聞いてもらうことで自分の気持ちが整理されますので、あなたなりの解決策が見い出せるかもしれません。
看護師に向いてないと感じるとき、どうすればいい?
【理由➋:命に関わる仕事というプレッシャー】への対処法は…
⇒周囲に相談して気持ちを整理する
もし、周りに相談する相手がいない場合は、当サイトが運営する「キャリア無料相談(60分)」をご利用ください。あなたの悩みに寄り添います。
思考法➌:他人の評価と自己評価を切り離して考える
周りからの厳しい評価や非難の声を受けてしまうと、その時点で自信を失い、
- 「自分は仕事ができない」
- 「自分は看護師に向いてない」
と自己評価を下げてしまう人も多いのではないでしょうか。
こうした考え方をする人は、「他人の評価=自分の評価」のように、周りからの評価を全て自分の評価に直結させてしまう思考の持ち主です。
しかし、他人から指摘されたり非難されたからと言って、即あなたの価値が低くなるのでしょうか。
そのように考える必要など全くありません。他人から何を言われようが、あなたの人間的な価値は何も変わらないからです。
非難や指摘された状況にもよります。急変対応など切迫した状況では、周囲の気が立っているため、反射的に出た言葉である可能性もあります。指摘してきた相手自身が精神的に追い詰められていたことも考えられます。
もし厳しい指摘や非難を受けた場合、それが事実であれば素直に指摘を認め、気持ちを切り替えて、どうすればこの経験が次に活かせるのかを考えることが重要です。
言われる覚えのないことであれば、上手に聞き流して気持ちの切り替えを行うことも医療現場で働いていくうえでの大事な対処法になります。
他人の指摘や評価と自分の評価は切り離して考える。これができるようになれば、むやみに自己肯定感を下げずにモチベーションを維持することができ、今自分に必要とされるスキルや経験を着実に積み上げることができると考えます。
参考:「看護師の人間関係の悩みがスーッと消えていく本~心が変われば、人間関係が変わる~」・りょう(有村涼)著
看護師に向いてないと感じるとき、どうすればいい?
【理由➌:人間関係の悩みからくるモチベーションの低下】への対処法は…
⇒他人の評価と自己評価を切り離して考える
自分を見つめ直そう!自己分析のための6ステップ

看護師に向いてないと感じているあなたにとって必要なことは、自分を見つめ直す時間を充分にとることです。
もし看護師の道をあきらめ、別の道を考え始めている場合、これから紹介する6つの手順と方法を試してみてください。
一度選んだ看護師の道です。後悔のない人生を歩むためにも、是非試していただくことをおすすめします。
各ステップの内容については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。また、今の職場を辞めるべきか続けるべきかを判定するためのチェックリストも掲載していますので、併せて参照のうえ自己分析を進めるようにしてください。
「印象深いエピソード」を10件抽出する
棚卸ししたそれぞれの経験に「満足度」を数値評価(1~10点)する
以下の3段階に分けて転職基準(給料、就業形態、仕事内容、教育体制等)を明確に設定する
- 「必須条件」
- 「優先条件」
- 「理想条件」
- 定性的データの収集:
求められる看護師の能力、人物像等を確認する - 定量的データの収集:
離職率、研修時間、有給消化率等を確認する
想定されるキャリアを複数挙げ、ケースごとに3年後予想をシミュレーションする
(ケースの例)
- 「現職継続」ケース
- 「同規模病院転職」ケース
- 「専門クリニック転向」ケース など
いくつ当てはまる?看護師の適正をチェックする12の質問

これまで、看護師の適正や、看護師に向いてないと考える理由とその対処法について考えてきました。
それでは、最後に、あなた自身に看護師の適性があるかどうか、改めてチェックしてみませんか?
「学生時代にやってます!」という人も多いかも知れません。
しかし、改めてチェックしてみることで、あなたの今後のキャリア形成において何かの気づきになることもあります。
是非チャレンジしてみましょう!
看護師の適正チェックにチャレンジ!
次のうち、自分に当てはまるものに〇をつけてください
1 | 主役を立てる脇役ってかっこいいと思う | |
2 | チームプレイが好き | |
3 | 誰とでもすぐ仲良くなれる | |
4 | 黙っているのは苦にならない | |
5 | どちらかと言えば几帳面 | |
6 | 人に説明したり教えたりするのが好き | |
7 | 入院経験あり | |
8 | 健康には自信あり | |
9 | 気持ちの切り替えはうまいほう | |
10 | 我慢強いと言われる | |
11 | 悲しいドラマや映画ですぐ泣いてしまう | |
12 | 困っている人を放っておけない |
あなたの「看護師資質度」は?
いかがだったでしょうか。〇は何個つきましたか?
このチェックリストでは、〇の数であなたの「看護師資質度」がわかります。
下の表で確認してみましょう。
看護師資質度 ( 〇の数) | コメント |
12~10 | 看護師になるために生まれたようなあなた、他の職業に就いたらもったいない! |
9~7 | 資質は十分、よい看護師になれるはず |
6~4 | 向いてない、と自分で思い込んでいませんか、意外と他人はそう見ないかも… |
3~0 | キャリア見直しの検討も必要?関連記事も含めて当ブログをご参考ください。 |
引用:日本看護協会監修「看護師まるごとガイド」(一部筆者にて改編)
チェックしてみた結果を含め、どうしてもいまの部署での業務が難しいと考える場合、内部異動の検討も進める必要があるかもしれません。
異動か転職か考えるうえでのポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参考ください。
まとめ
本記事では、看護師に向いてないと感じたときにとるべき思考のポイントについて解説してきました。
最後に、今回のポイントをまとめたいと思います。
看護師に向いてないと感じたとき、どうすればいい?
- できない自分ばかり見ない
- 周囲に相談して気持ちを整理する
- 他人の評価と自己評価を切り離して考える
「看護師に向いてるか、向いてないか。」
このように100か0かで考えるのではなく、自分が持っている特性や強みをどこで活かせるかを考えることが、看護師の資格を持続的に活用するための重要な秘訣となります。
このように柔軟な考え方を日頃から取り入れることができれば、仕事に対する精神的な負担が軽減され、あなたの気持ちも少しは楽になるのではないでしょうか。
多くの看護師さんが悩む問題だと思いますが、この悩みに直面した今、皆さんにとって改めて自身のキャリアに向き合うチャンスとも言えます。
是非このチャンスを活かして、理想の働き方、生き方を実現させましょう。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
看護師向いてないかも…と悩むあなたへ
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