Q. 転職を考えているのですが、どんな職場を避ければいいのでしょうか?
「次の職場は失敗したくない」
「でも何を基準に判断すればいいのかわからない」
転職を考え始めたとき、こういった不安を抱える看護師は少なくありません。
元病院人事・社労士として採用と職場運営の両面に関わってきた立場からお伝えすると、「良い職場を探す」より「避けるべき職場の特徴を知る」方が、判断の精度が上がります。
また、NG職場の特徴を知ることは転職先を選ぶためだけに役立つわけではありません。
「今の職場が自分にとってどういう状態なのか」
を客観的に評価するためにも使えます。
この記事は、看護師がやめた方がいい職場の特徴を整理するためのページです。
結論:

避けるべき職場の特徴を知ることは、転職先を選ぶためだけでなく今の職場を客観的に評価するためにも役立ちます。
「この職場は自分に合っているのか」という疑問に答えるには、判断の基準が必要です。
NG職場の特徴を知ることで、今の職場の何が問題で、何が問題でないかを整理しやすくなります。
離職率データで見る「NG職場の実態」

まず、客観的な数字を確認しておきます。
日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」によると、2023年度の看護職員の離職率は以下のとおりです。
- 正規雇用看護職員離職率 11.3%(前年度:11.8%)
(最高)東京都14.2%
(最低)岩手県・山形県6.8% - 新卒採用者離職率 8.8%(前年度:10.2%)
(最高)香川県15.2%
(最低)富山県2.8% - 既卒採用者離職率 16.1%(前年度:16.6%)
(最高)大分県22.4%
(最低)秋田県7.3%
引用:日本看護協会 2024年病院看護実態調査報告書
既卒採用者の離職率が16.1%と新卒の約2倍になっている点が注目されます。
何年か経験してからでしかわからない業務の実態や職場環境の問題が、この数字に表れています。
また、看護師全体の離職率(11.3%)は、一般労働者全体の離職率(2023年:12.1%)と大きく変わりません。
「看護師は特別に離職率が高い」というより、職場によって差が大きいという実態を表しています。
地域別でも差があり、新卒離職率は最高の香川県(15.2%)と最低の富山県(2.8%)で5倍以上の開きがあります。
同じ看護師でも、どの職場・地域を選ぶかで大きく状況が変わることがわかります。
引用:厚生労働省ホームページ「令和6年 雇用動向調査結果の概要」 kekka_gaiyo-01.pdf
看護師がやめた方がいい職場の6つの特徴

人事として採用・定着の両面に関わってきた経験から、やめた方がいい職場の特徴を整理します。
NG職場① 長時間労働が常態化している
- 残業が当たり前になっている
- 勤務時間が読めない
- 休憩が取れない
など、長時間労働が構造的に固定されている職場は要注意です。
心身の消耗だけでなく、医療安全上のリスクも高まります。
看護師が疲弊した状態では、患者さんへの影響も避けられません。
【確認すべきポイント】
- 業務の効率化・タスクシフティングが進んでいるか
- ICT活用で記録業務の負担が軽減されているか
- 勤務間インターバル制度が導入されているか
NG職場② 休みが取りづらい
- 有給休暇が取りにくい
- 希望休が通らない
- 急な欠員を残業でカバーする文化がある
このような職場は、長期的な就業が難しくなります。
「忙しいから仕方ない」という空気が常態化している職場では、個人の声が上げにくくなります。
【確認すべきポイント】
- 有給休暇取得率が公開されているか
- 人員配置が慢性的に不足していないか
- ワークライフバランスへの取り組みが具体化されているか
NG職場③ ハラスメントが横行している
パワハラ・モラハラが日常化している職場は、心理的安全性が著しく損なわれています。
「厳しい指導」と「ハラスメント」の境界が曖昧にされている職場では、被害を受けても声を上げにくい状態が続きます。
【確認すべきポイント】
- ハラスメント防止方針が明文化されているか
- 中立的な相談窓口が設置・機能しているか
- 全職員向けのハラスメント研修が定期的に実施されているか
(参考資料)
過労死等の労災補償状況
精神障害労災補償支給決定で多くみられた具体的な障害の要因(全職種):件数1位「上司等からパワハラを受けた」
NG職場④ 教育・研修体制が整っていない
新人への教育が属人的(特定のプリセプターに依存)で、体系的な研修プログラムがない職場では、スキル習得にムラが生まれやすく、精神的負担も増します。
教育体制の不備は、経験の浅い看護師ほど大きな影響を受けます。
【確認すべきポイント】
- チーム全体で新人を支える体制があるか
- 外部研修への参加支援があるか
- メンター制度が導入・活用されているか
(参考資料)
病院看護実態調査
新人看護職員の育成のために教育・訓練の面で強化または工夫して実施したこと:
例)シャドーイング 平均43.0%(500床以上;65.3%・100~199床;35.9%・100床未満;16.1%)
引用:日本看護協会 2023年病院看護実態調査報告書
NG職場⑤ チームワーク・人間関係が良好でない
- スタッフ間の関係が険悪
- コミュニケーションが取りにくい
- 多職種間の連携が機能していない
このような職場は、業務上のミスや患者対応の質の低下につながりやすくなります。
【確認すべきポイント】
- スタッフ間で自然な会話が生まれているか
- 心理的安全性が重視されているか
- 多職種連携が機能しているか
(参考資料)
看護師の働き方に関する意識調査
- 現職で満足を感じている点:1位「同僚との関係」81.8%
- 前職の退職理由:1位「上司との関係に不満がある」31.5%
NG職場⑥ 患者の安全・医療の質が軽視されている
- インシデントへの対応が不十分
- 安全管理体制が形骸化している
- 「忙しいから仕方ない」で済まされる文化がある
このような職場は、看護師として働き続けることが難しくなります。
医療事故のリスクを常に抱えた環境は、精神的な消耗と職業倫理上の葛藤を生み続けます。
【確認すべきポイント】
- 安全管理体制が構築・強化されているか
- 医療・看護の質改善活動が継続されているか
- 患者ファーストの文化が実態として根づいているか
(参考資料)
職員やりがい度調査(職種別)
「医療介護の質」に対する職員やりがい度(5点満点):全職種3.04点(医師3.68点・看護師2.88点・メディカルスタッフ3.14点・薬剤師3.15点)
引用:公益財団法人日本医療機能評価機構 2024年度 01_資料表紙と目次
今の職場がNG職場だと気づいたときに考えること

上記の特徴に複数当てはまる場合、まず以下の順番で整理してみてください。
問題は「構造的なもの」か「一時的なもの」かを分ける
人員不足・マネジメントの問題・制度の欠如など、
- 個人の努力では変えられない構造的な問題なのか
- 一時的な繁忙や特定の人間関係の問題なのか
を区別することが大切です。
改善の可能性を確認する
- 上司への相談
- 部署異動
- 制度の活用
など、今の職場の中で試せることが残っていないかを確認してみましょう。
限界だと判断したら、次の環境を探す
「この職場では改善が見込めない」と判断できたなら、転職を前向きな選択肢として検討します。
その際も「次にどんな職場で働きたいか」を言語化してから動くことが重要です。
よくある質問(FAQ)

NG職場かどうかは見学で判断できますか?
ある程度は判断できます。
スタッフの表情・会話の様子・職場の清潔感・見学時の案内担当者の態度などから、雰囲気を感じ取ることができます。
ただし、見学は「良い面を見せる場」でもあります。「実際の残業時間」「ハラスメントへの対応実績」「有給取得率」などは、具体的な数字として確認することをお勧めします。
NG職場の特徴に当てはまっても、続けた方がいい場合はありますか?
あります。
たとえばお礼奉公期間中・資格取得の途中・特定のスキルを習得中など、今の職場にいることで得られるものがある場合は、「いずれ出ることを前提に、今は続ける」という判断も合理的です。
「すぐ辞めるべきか」ではなく「いつ動くかのタイミング」を考えることが大切です。
複数の特徴が当てはまったら、すぐに転職すべきですか?
当てはまる数より、「自分の心身にどれだけ影響が出ているか」を優先して判断してください。
複数当てはまっても耐えられている人もいれば、1つの問題でも限界になる人もいます。
「今すぐ動く必要があるか」「準備してから動くか」は自分の状態を基準に判断することが重要です。
まとめ

看護師がやめた方がいい職場の特徴は以下の6つです。
- 長時間労働が常態化している
- 休みが取りづらい
- ハラスメントが横行している
- 教育・研修体制が整っていない
- チームワーク・人間関係が良好でない
- 患者の安全・医療の質が軽視されている
これらは転職先を選ぶ基準としてだけでなく、今の職場を評価するための視点としても使えます。
看護師にとっての「働きやすい職場」、また「働きがいのある職場」についてはこちらの2つの記事も参考にしてください。


そもそも転職すべきか迷っている方には、考えるべき視点を解説したこちらの記事から読み進めていただくのがわかりやすいです。

