Q. 「私、看護師に向いてないかも…」
そう感じたとき、まず何から考えればいいのでしょうか?
「辞めたい気持ちが消えない」
「周りはできているのに、自分だけつらい」
そんなふうに感じているときほど、自分を責める方向に考えがちになります。
でも、病院人事として多くの看護師の相談を受けてきた経験から言うと、「向いてないのでは」と悩む人ほど、真面目で責任感が強いケースがとても多いということ。
本記事では、看護師に向いてないかも…と感じたときに整理すべき思考のポイントについて解説します。
この記事を読んで、あなたのキャリア形成の参考にしていただけるとうれしいです。
結論:「向いていない」と決めてしまう前に、まずは“気持ち”を整理してください

「看護師に向いてない」というのは、多くの看護師が抱える悩みです。
看護師は、責任の伴うハードな仕事です。忙しいなかでも短い時間の中で多くの判断を求められます。思いどおりに仕事が進まないと嘆いている看護師の方もたくさんいるのではないでしょうか。
ただ、今この段階で大切なのは、向き・不向きを判断することではありません。
いきなり答えを出そうとすると、
- 必要以上に自分を否定してしまう
- 焦って転職を決めてしまう
といったミスマッチにつながりやすくなります。
まずは、今感じている気持ちを整理するところから始めましょう。
「向いてないかも」と感じるときに多いパターン

看護師が「自分は向いてないのでは」と感じる背景には、いくつか共通するパターンがあります。
◉ プレッシャーや責任の重さ
命に関わる仕事だからこそ、その責任に対するプレッシャーに耐え切れず、自分には向いてないと感じてしまうのかもしれません。
- ミスが許されない仕事
- 常に緊張感がある職場環境
- 患者さんの命に関わる責任
◉ 身体的・精神的な疲労
特に経験が浅めの人は、自分の知識・技術面で不安を抱えつつも、後輩の面倒や目の前の患者さんのケアを同時に考えなければなりません。
さらに、委員会活動や勉強会の準備などに時間が奪われ、自分に本当に必要な勉強がなかなか進まず、焦りや不安はますます募るばかりでしょう。
- 夜勤や不規則な生活の連続
- 休んでも疲れが取れない
- 気力が回復しない状態が続く
◉ 人間関係や職場環境
人の命に関わる医療現場では、看護師個人に対するスキルの要求も高くなります。
ミスを繰り返すような状況が続くと、周りからの信頼が得られず、職場での人間関係を良好に保つことが難しくなります。仕事を覚えて周りの期待に応えたくても、こうした精神的に辛い状況ではモチベーションは上がりません。
- 指導が厳しい
- 相談しにくい雰囲気
- 職場の人間関係のストレス
これらは、能力の問題ではなく環境や状態の問題であることが少なくありません。
まず整理したい3つの視点

ここで一度、立ち止まって整理してみてください。

① 何が一番つらいのか
「全部つらい」と感じるときほど、実は一番しんどいポイントがあります。
- 業務内容?
- 人間関係?
- 働き方や体力面?
言葉にしてみるだけでも、気持ちは少し整理されます。
② いつからそう感じているのか
「ずっと」ではなく、きっかけがあるケースも多いものです。
- 配属後から?
- 異動や体制変更のあと?
- プライベートで変化があった時期?
③ 「辞めたい」と「向いていない」を分けて考える
疲れているときほど、「辞めたい=向いていない」と結びつけてしまいがちです。
でも、
- 一時的な疲労
- 環境の影響
- 人間関係のストレス
が原因であれば、適性そのものとは別問題です。
人事の立場から見て「向いてない」と判断されるケース

少し冷静な視点からもお伝えします。
実際に病院人事として見てきた経験から言うと、「業務の適性の問題」と判断されるケースは、意外と限られています。
例えば、
- 「報連相」が極端にできない
- 医療安全に対する意識が著しく欠けている
- 改善しようとする姿勢がまったく見られない
という言わば人事目線での評価から見ても、多くの方は、ここには当てはまりません。
そもそも「悩んでいる」ということ自体が、仕事と向き合っている証拠でもあります。
【実践編】「向いてない」と感じたときの思考法

看護師に向いてない、と感じてしまうときに実践したい具体的な対処法を3点紹介します。
- できない自分ばかり見ない
- 周囲に相談して気持ちを整理する
- 「他人の評価」と「自分の評価」を切り離して考える
1.できない自分ばかり見ない
知識やスキルが足りないと、できないことばかりが気になります。
しかし、「できないこと」ばかり見るのではなく、自分の中で「できていること」を見つけることの方がより重要です。
あなたが提供する看護のなかでも、「できていること」は必ずあるはずです。
できていることをひとつひとつ評価していくことで自信につながります。いくら小さなことでも、成功体験の積み重ねは自己効力感を高めるきっかけになります。
2.周囲に相談して気持ちを整理する
適性やプレッシャーなど仕事に関する悩みは、自分一人で抱え込まずにプリセプターや話しやすい先輩、同僚などに相談することをおすすめします。
程度の差こそあれ、先輩でも今でも同じ悩みを抱えているはずです。
自分と同じ境遇を少なからず経験しているはずですので、ざっくばらんに今の気持ちを共有することで、有効なアドバイスがもらえることが期待できます。
人に話を聞いてもらうことで自分の気持ちが整理されますので、あなたなりの解決策が見い出せるかもしれません。
3.「他人の評価」と「自分の評価」を切り離して考える
周りからの厳しい評価や非難の声を受けてしまうと、その時点で自信を失い、
- 「自分は仕事ができない」
- 「自分は看護師に向いてない」
と自己評価を下げてしまう人も多いのではないでしょうか。
こうした考え方をする人は、「他人の評価=自分の評価」のように、周りからの評価を全て自分の評価に直結させてしまう思考の持ち主です。
もし厳しい指摘や非難を受けた場合、それが事実であれば素直に指摘を認め、気持ちを切り替えて、どうすればこの経験が次に活かせるのかを考えることが重要です。
他人の指摘や評価と自分の評価は切り離して考える。
これができるようになれば、むやみに自己肯定感を下げずにモチベーションを維持することができ、今自分に必要とされるスキルや経験を着実に積み上げることができます。
参考:「看護師の人間関係の悩みがスーッと消えていく本~心が変われば、人間関係が変わる~」・りょう(有村涼)著
転職を考えるのは「整理したあと」で大丈夫

「向いてないかも」と感じたとき、すぐに転職活動を始める必要はありません。
次のことを頭に入れておくだけで、気持ちが楽になります。
- 「情報収集=転職」ではない
- 判断を先送りするのも、立派な選択
まずは、以下の順番で考えれば大丈夫です。
気持ちを整理 → 状況を見直す → 判断する
▶ 転職していいのか迷ったときの判断軸は、こちらの記事で整理しています

よくある質問(FAQ)

向いていないと感じたら、看護師を辞めたほうがいいのでしょうか?
すぐに結論を出す必要はありません。疲労や職場環境などの影響で一時的にそう感じている可能性もあります。まずは気持ちや状況を整理することが大切です。
他の看護師は我慢して働いているのでしょうか?
表に出さないだけで、悩みながら働いている看護師は多くいます。我慢と無理は違うため、自分の状態を見極めることが重要です
看護師以外の仕事の方が楽なのでしょうか?
楽かどうかよりも、今の環境や働き方が自分に合っているかという視点で考えることが大切です。職場や役割が変わるだけで働きやすくなる場合もあります。
まとめ

「看護師に向いてるか、向いてないか?」
このように100か0かで考える必要はありません。
今は、答えを出す前の整理の段階です。
焦らず、一つずつ考えていきましょう。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

