看護師から保健師へ!転職のメリットや仕事内容・年収・転職方法を徹底解説

診察室で患者の問診している笑顔の保健師

保健師の資格を持ちつつも看護師のお仕事に励む皆さん、保健師への転職を考えたことはありませんか?

看護師免許と併せて保健師の資格を取った方のなかには、

  • 「どうすれば保健師になれるの?」
  • 「保健師の仕事の内容は?」

と気になっている方も少なくないでしょう。

具体的に転職活動を進めていく前に、一度保健師への転職がどのようなものなのか、確認してみてはいかがでしょうか。

この記事では、看護師と保健師の仕事内容の違いや転職のメリット・デメリットを解説し、具体的な転職の流れについても紹介しています。

なお、筆者は元病院人事として様々な背景を持つ看護師さんの採用に関わってきました。

是非この記事を読んでいただき、今後のキャリアプランや転職活動の参考にしていただけるとうれしいです。

目次

看護師から保健師に転職を考えるあなたへ|こんな悩みはありませんか?

病院で働く看護師さんには、色々な悩みがあると思います。

もし、保健師への転職が叶えば、これらの悩みが解消されるかも知れません。

「夜勤がつらい…」「体力的に限界…」

病棟看護では、交替制による不規則な勤務形態や夜勤の多さに体力を奪われます。そのうえ急患の受け入れや急変対応に追われるため精神的なプレッシャーから逃れられません。

保健師にキャリアチェンジした場合、身体的にも精神的にも、比較的落ち着いた環境で働ける可能性があります。

「ワークライフバランスを整えたい…」

特に病棟看護師は、不規則で自分の好きな時に休みが取りづらい勤務形態であるため、ワークライフバランスを維持するのは至難の業です。

保健師にキャリアチェンジすれば、夜勤や不規則な勤務から解放され、規則的な生活を維持することができるかも知れません。

「長く働ける職場を探したい…」

看護師として身体的にも精神的にもハードに働き、ワークライフバランスが崩れた働き方が続くと、長期的な就業が難しくなります。

保健師にキャリアチェンジした場合、仕事と家庭の両立がしやすく、将来を見通して長く働くことができるかも知れません。

「もっと自分に合った働き方がしたい!」

心身をすり減らしながら患者さんに接していくうちに、ますます理想の看護から遠ざかっていく現状に嫌気がさしている看護師さんも多いのではないでしょうか。

保健師として予防医療や健康増進に携わることで、看護師とは異なる新たな視点から医療に貢献できるかも知れません。

なお、看護師の仕事に向いてないと感じる場合の対処法について、以下の記事で解説していますのでご参考ください。

看護師と保健師の違い|仕事内容・働き方・キャリアの違いを比較!

ここでは、看護師と保健師の違いについて、色々な角度から確認していきたいと思います。

仕事内容の違い|病棟と地域・企業での役割の違い

看護師の仕事が治療中心なのに対し、保健師は予防と健康促進が中心になります。

以下の表で、看護師と保健師の仕事内容を比較してみましょう。

看護師保健師
●患者の血圧、体温、脈拍などのバイタルサインの測定
●投薬、点滴、注射などの診療補助
●手術の準備や補助
●術後や処置後のケア
●患者の食事やトイレ、入浴などの日常生活の介助
●患者の経過観察と精神的サポート
●地域住民全体の健康促進と保健予防活動
●健康相談や健康教育の実施
●健康診断の実施と健診結果に基づく保健指導
●感染症対策の立案と実施
●メンタルヘルス支援
●職場や学校での健康管理

看護師は主に医療機関で勤務し、怪我や病気の患者に対して直接的なケアを提供します。

一方、保健師は保健所、企業、学校、医療機関など様々な場所で勤務し、幅広い年齢層や属性の方々を対象に予防医療と健康増進に関する活動を行います。

働き方の違い|夜勤なし&土日休みも可能?

働き方の違いはどうでしょうか。以下の表で比較してみます。

看護師保健師
主に医療機関にて…
●日勤、夜勤、早出、遅出など不規則な勤務
医療機関、地域、学校、企業などにて…
●日勤中心の規則的な勤務

医療機関で働く看護師には、日勤や夜勤、早出、遅出など不規則な勤務があります。

保健所や企業で働く保健師は、通常、日勤中心の規則的な勤務形態になります。

看護師に比べて保健師の方が、ワークライフバランスを取りやすい職場環境にあると言えます。

キャリアの違い|将来性のある働き方とは?

キャリア形成の違いはどうでしょうか。以下の表で比較してみます。

看護師保健師
主に医療機関にて…
●ゼネラリスト(外来や病棟全般業務に精通)
●スペシャリスト(特定分野に特化)
●マネジメント(管理職を目指す)
医療機関、地域、学校、企業などにて…
●各分野でのゼネラリスト
●各分野でのスペシャリスト
●各分野でのマネジメント

看護師は臨床経験を積み、医療機関における

  • 外来や病棟全般の業務に精通することを目指す「ゼネラリストタイプ」
  • 特定看護師、認定看護師、手術室看護師など特定分野に特化する「スペシャリストタイプ」
  • 師長や看護部長など管理職を目指す「マネジメントタイプ」

という3つのキャリアパスが一般的です。

看護師のキャリアプランについては、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参考ください。

一方、保健師は医療機関、地域、企業などの各分野で、ゼネラリストやスペシャリストとしてのキャリアを積むことができます。

具体的な保健師としてのキャリアアップの方法には、以下のようなものがあります。

勤務先で昇進

行政機関の保健師の場合、一般職から係長、課長など管理職へ昇進する道があります。産業保健師の場合、企業の健康管理室における責任者の道があります。

専門分野に特化

感染症対策や母子保健、精神保健、高齢者保健などの特定分野に特化し、より深い専門性を身につける道があります。

大学院に進学

大学院に進学して専門性を高め、研究者や教育者としてのキャリアを目指す道もあります。

多様なキャリアチェンジ

保健師の有資格者として、医療機関、行政、企業、学校など多様なキャリアの道があります。異なる業種へ移ることで、独自のキャリアアップを図ることができます。

独立起業

保健師のノウハウを活かし、起業して、自らが企業に対する健康増進のサービスを提供する道もあります。

また、健康経営やメンタルヘルスケアに力を入れる企業が増えているため、コンサルタントとして独立し、他者の起業支援を行うなど、新たなキャリアパスを築くこともできます。

給与の違い|給与データを比較!

ところで、保健師の給与は看護師と比べて高いのか、低いのか?

ここでは、令和5年賃金構造基本統計調査のデータをもとに、看護師と保健師の平均給与額を比較してみたいと思います。

出典:賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

看護師と保健師:平均給与を比較!

さっそく比較した資料が以下になります。資料のとおり、保健師の給与は看護師と比較すると、やや低めの設定になっているようです。

夜勤が伴う看護師の働き方に対して、保健師は基本的に日勤が中心になります。夜勤手当がない分、給与面で見劣りするのも仕方のないことでしょう。

ただし、公的施設から民間企業まで、保健師の就業場所は多岐にわたりますので、勤務先や経験年数によっても給与条件は異なります。

看護師保健師
年齢41.9歳38.6歳3.3歳
勤続年数9.8年6.5年3.3年
決まって支給する現金給与額(月)35.2万円31.3万円3.9万円
年間賞与他特別給与85.7万円75.6万円10.1万円
年収508.2万円451.1万円57.1万円
看護師と保健師の給与比較
(令和5年賃金構造基本統計調査を参考に筆者作成)

保健師の給与:経験年数で比較

参考までに、保健師の経験年数別給与額も紹介します。

~0年1~4年5~9年10~14年15年~
所定内給与(月)28.8万円27.0万円28.6万円30.6万円34.5万円
年間賞与他特別給与10.9万円61.7万円61.3万円106.7万円114.0万円
年収(所定外給与除く)357.0万円385.8万円404.4万円474.1万円527.5万円
保健師の経験年数別給与比較
(令和5年賃金構造基本統計調査を参考に筆者作成)

看護師から保健師になるには?キャリアチェンジの方法を解説

小さな黒板に白のチョークで「CHANGE」と書かれたイラスト

保健師として働くには何が必要?

当然ですが、保健師として働くには、保健師国家資格が必要です。

ここでは、看護師資格をお持ちの看護師さんが保健師資格を取得するための手順を紹介します。

手順➊:保健師養成課程への入学

看護師国家資格がある場合、主に以下の2つのルートで保健師国家資格の取得を目指します。

①大学での保健師養成課程

一般的に、保健師養成課程のある看護系大学に3年次編入し、2年間学習のうえ資格取得を目指します。

②専門学校での養成課程

保健師養成の専門学校に入り、1年間の専門課程を履修して資格取得を目指します。

手順➋:専門科目の履修

保健師に必要な専門科目を履修し、実習を含む所定のカリキュラムを修了します。

手順➌:保健師国家試験の合格

毎年2月に実施される保健師国家試験を受験し、合格する必要があります。

保健師国家試験の概要

直近の保健師国家試験の概要を紹介します。

第111回保健師国家試験概要
  1. 試験期日
    令和7年2月14日(金曜日)
  2. 試験地
    北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県及び沖縄県
  3. 試験科目
    公衆衛生看護学、疫学、保健統計学及び保健医療福祉行政論
  4. 受験資格
    次のいずれかに該当する者
    (1)文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の指定した学校(以下「指定学校」という。)において1年以上保健師になるのに必要な学科を修めた者(令和7年3月14日(金曜日)までに修業する見込みの者を含む。)
    (2)文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、都道府県知事の指定した保健師養成所(以下「指定養成所」という。)を卒業した者(令和7年3月14日(金曜日)までに卒業する見込みの者を含む。)
    (3)保健師助産師看護師法第2条に規定する業務に関する外国の学校若しくは養成所を卒業し、又は外国において保健師免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が(1)又は(2)に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの詳細はこちら
    (4)保健師助産師看護師法及び看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成21年法律第78号。以下「改正法」という。)の施行の際(平成22年4月1日)現に改正法による改正前の保健師助産師看護師法(以下「旧法」という。)第19条第1号に該当する者
    (5)改正法の施行の日(平成22年4月1日)前に旧法第19条第1号に規定する学校に在学し、施行日以後に同号に規定する要件に該当することとなった者(施行日以後に同号に規定する学校に入学し、当該学校において6月以上保健師になるのに必要な学科を修めた者を除く。)
  5. 合格発表
    令和7年3月24日(月曜日)午後2時

出典:保健師国家試験の施行|厚生労働省

前回(第110回)の保健師国家試験の結果概要

参考までに、前回の保健師国家試験の結果概要を紹介します。

受験者合格者合格率
全体7,795人7,456人95.7%
新卒7,387人7,218人97.7%
既卒408人238人58.3%
令和6年2月9日実施・第110回保健師国家試験結果の概要
(厚生労働省ホームページを参考に筆者作成)

前回(第110回)の保健師国家試験合格基準】
得点率60.4%(87点以上/144点満点)

上の資料のとおり、令和6年2月に行われた試験では、既卒の合格率は58.3%でした。

直近5年間で見ても既卒の合格率が5割~6割で推移しており、新卒の合格率とのギャップの大きさが目立ちます。

未経験でも大丈夫?看護師が保健師に転職する際のポイント

未経験の看護師さんでも保健師になれるのでしょうか。

結論としては、保健師としての経験がなくても、看護師としての経験が実務に活かせるため、未経験での転職も十分可能と考えます。

ただし、保健師になるために必要な資質やスキルはあります。看護師として必要な資質と重なる項目も多いですが、以下のとおり列挙したいと思います。

必要スキル➊:コミュニケーション能力

必要なスキル➊は、コミュニケーション能力です。具体的には以下のスキルが大事になります。

  • 様々な年齢層や背景を持つ人々と円滑に対話できる能力
  • 信頼関係を築くための対話スキル
  • 一対一のコミュニケーションだけでなく、一対多のコミュニケーション能力

必要スキル➋:観察力

必要なスキル➋は、観察力です。具体的には以下のスキルが大事になります。

  • 細かな身体の変化や心の動きを感じ取る能力
  • 自分で不調を訴えられない人の状態を把握する力

必要スキル➌:説明能力

必要なスキル➌は、説明能力です。具体的には以下のスキルが大事になります。

  • 健康に関する説明やアドバイスを一般人レベルに分かりやすく伝える能力
  • 相手の視点に立って指導する力

必要スキル❹:交渉・提案能力

必要なスキル❹は、交渉・提案能力です。具体的には以下のスキルが大事になります。

  • 従業員の健康状態に応じ、生活習慣改善など適切な対応を提案・交渉する能力

必要スキル❺:行動力

必要なスキル❺は、行動力です。具体的には以下のスキルが大事になります。

  • 規範やマニュアル、前例がない状況でも自ら考えて行動できる能力

どこで働ける?保健師の職場の種類

保健師の活躍するフィールドは多岐にわたります。主な職場の特徴について、簡単に説明していきます。

➊医療機関

病院や健診施設などにおいて、主に健康診断の受診者に対して保健指導などを行います。最もイメージしやすい働き方ですよね。

筆者は、延べ12年間事務職として健診業務に携わってきましたが、特に専門の健診施設になると、保健師さんが施設の顔と言ってもいいほど存在感が大きくなります。責任が大きい分やりがいがある仕事と言えるでしょう。

➋行政機関(保健所・自治体の保健センター)

行政保健師として、都道府県や市区町村などの自治体の保健所等に所属し、乳幼児から高齢者まで、様々な世代の地域住民を対象に健康づくりを支援します。

➌一般企業

産業保健師として、一般企業の健康管理室等で、その企業で働く従業員の健康管理を行います。

定期健康診断、ストレスチェックの実施や事後フォロー、その他心身の不調に悩む従業員の健康相談などを行います。

❹学校

学校保健師として、大学や私立の小・中学校や高校の保健室にて、生徒や教職員の健康管理を行います。

なお、公立学校の保健師として働く場合は、別に養護教諭の資格が必要になることを押さえておいてください。

看護師から保健師に転職するメリット・デメリット

ここで、看護師から保健師に転職する場合のメリットとデメリットを確認してみたいと思います。

保健師転職のメリット

メリット➊:ワークライフバランスが改善する

保健師は夜勤や不規則な勤務が少なく、規則的な生活が可能です。プライベートの時間を確保しやすく、家庭との両立がしやすいです。

メリット➋:精神的・身体的な負担を軽減できる

急患や急変時の対応が少なく、比較的落ち着いた環境で働けます。身体的な負担も看護師に比べて軽減されます。

メリット➌:長期的に働きやすい

保健師は医療機関や行政機関、一般企業など多様な場所で長期的に働く環境が整っています。そのため、キャリアの安定性が高く、将来の見通しが立てやすいです。

メリット❹:多様なキャリアパスが叶う

医療機関、地域、企業、学校など、様々な分野での活躍の可能性が広がります。

そのため、多様な選択肢の中から、あなたなりのキャリア形成が可能になります。

メリット❺:予防医療へ貢献できる

病気を未然に防ぐ予防医療に携わることで、より多くの方々の健康の維持・増進に貢献できます。

保健師転職のデメリット

デメリット➊:求人が少なく競争率が高い

医療機関、行政、企業、学校など活躍できる場は幅広いですが、求人数自体は看護師より少なくなります。その分競争率が高まるため、就職しづらい傾向にあります。

デメリット➋:給与が下がる場合もある

病院における病棟勤務に比べると夜勤の機会が少ないため、勤務先によっては看護師時代より給与が下がる可能性があります。

デメリット➌:臨床スキルが低下する

患者さんとの直接的な医療行為に接する機会が減るため、臨床上の看護スキルが低下する可能性があります。

デメリット❹:環境変化への適応が必要

保健師に転職すれば、新しい職場環境や業務内容に適応する必要があります。そのため、就業当初は環境の違いに戸惑いやストレスを感じる可能性があります。

保健師に向いているタイプと向いていないタイプ

それでは、どのようなタイプが保健師に向いているのでしょうか。向いていないタイプと併せて紹介します。

保健師に向いているタイプ

向いているタイプ➊:予防医療に興味がある人

病気の予防や健康増進活動、地域全体の健康課題に取り組むことに強い関心を持つ人が適しています。

向いているタイプ➋:長期的な視点を持つ人

個人や地域の健康を長期的に見守り、継続的な支援を行うことに意義を感じる人が適しています。

向いているタイプ➌:コミュニケーション能力が高い人

看護師と同様、様々な年齢層や背景を持つ人たちとコミュニケーションを取り、信頼関係を築ける人が向いています。

保健師に向いていないタイプ

向いていないタイプ➊:患者への直接的なケアを志向する人

保健師は直接的な医療行為ではなく、予防や教育に重点を置くため、臨床現場での直接的なケアを志向する人には向いていません。

向いていないタイプ➋:すぐに結果を求めたがる人

保健師の仕事は長期的な視点が重要になります。すぐに結果が出ないことも多いため、短期的な結果ばかり求めたがる人には向いていません。

向いていないタイプ➌:変化や新しい環境への適応が苦手な人

保健師は様々な場所や環境で働く機会が多いため、状況や環境変化に柔軟に対応することが苦手な人には向いていません。

看護師から保健師の転職を成功させる5つのステップ

付箋に「STEP1」から「STEP4」まで順に矢印で書かれたイラスト

ステップ➊:自己分析の徹底

強みや価値観を探る

保健師への転職を検討する際には、まず、充分時間をかけて自己分析を行うことから始めます。

あなたの特性や強み、働くうえで譲れない価値観などを分析するのです。

転職の目的を言語化する

内面の深堀りができたら、あなたが本当に希望する業務内容、勤務条件を明確にし、転職の目的を再確認します。

ここで大事なのは、なぜ看護師から保健師に転職するのか、その理由をより明確にするためにも必ず言語化しておくことです。

後に訪れる面接の機会で担当者が納得できるほどの転職理由を、この段階で固めておくことが重要です。転職の理由、目的が固まることで、あなたにとっての最適な職場が見つけやすくなるのです。

転職の際の具体的な自己分析の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参考ください。

ステップ➋:自分に合った職場を選ぶ

希望する分野を明確にする

自己分析であなたの価値観や転職の目的が定まったら、転職候補先となる職場の選定を行います。自己分析に基づき、医療機関や行政機関、企業、学校などの分野から、あなたに最適な職場を探します。

転職サイトの活用も検討する

医療機関や企業では、転職サイトを利用して保健師の求人をかけているところもあります。

特に働きながら転職活動をする場合は、転職エージェントを活用して効率的に情報収集することをお勧めします。

転職エージェントに依頼しておけば求人情報の提供はもちろんのこと、履歴書作成や面接対策などの支援も行ってくれるので、上手に活用しましょう。

以下の記事で、転職サイトの活用方法について解説していますので、併せてご参考ください。

勤務条件や福利厚生を比較検討する

職場選びでは、必ず勤務条件や福利厚生も比較して検討しましょう。ワークライフバランスの充実や長期就業を考える際の重要なポイントになりますので、要チェックです。

以下の記事では、勤務条件等の整った働きやすい職場の解説を行っています。併せてご参考ください。

事前に職場見学しておく

可能であれば、職場見学を依頼して、実際に働いている保健師から情報を得ることをお勧めします。ホームページや応募資料からでは伝わらないリアルな職場の雰囲気を事前にチェックしておくことは、転職を成功に導く重要なステップだと考えます。

ステップ➌:応募書類の準備|看護師経験で差をつける

看護師の経験をアピールする

候補先が絞れたら、履歴書や職務経歴書を作成します。自己分析で整理したとおり、これまであなたが看護師として培った知識やスキル、実績を具体的に記載し、自己PR文をまとめます。

ここで大事なのは、転職候補先で予想される仕事内容に合わせて自己PR文をアレンジして作成することです。

看護師としてのあなたの経験や強みを保健師としてどのように活かして貢献できるのか。これを具体的に訴求できれば、看護師経験のない保健師との差別化が図れます。

採用担当者からはより理解が得られ、転職活動を有利に進めることができるはずです。

明確な志望理由と将来のビジョンを示す

志望動機には、自己PR文と合わせて、自己分析で明らかになった保健師を志望する理由を明確に記載します。

ここでも、転職候補先での仕事内容に合わせた文章にすることが大事です。なぜ病院看護師から保健師を目指すのか、なぜ転職候補先の保健師として活躍したいのか、将来のビジョンとともに記載します。

さらに、予防医療や健康増進に関する自身の考えや取り組みを織り込むことができれば、採用担当者によりアピールすることができるでしょう。

ステップ❹:面接対策|保健師に求められるスキル・経験をアピールする方法

想定問答を練習する

応募書類を準備しつつ、志望する候補先に合わせて、面接で想定される質問の回答を準備しておきます。

転職支援のサービスも活用しながら、これまでの職務経歴、志望動機、自己PRを明確に伝えられるよう練習しておくと安心です。

面接の最後で聞かれる逆質問も考えておきましょう。何も質問しないというのは消極的に取られる可能性がありますので、候補先での健康増進の取組状況や研修の機会の有無など積極的な印象を与える質問をして、面接を終えられるようにするのがベターです。

具体例やエピソードを準備する

面接の回答を考えるうえでは、看護師としての経験を保健師の業務にどう活かせるのか、具体例を準備しておくことがポイントになります。

あなたが医療機関で経験した数々の看護業務のなかから、保健師として活かせそうな実際のエピソードを話すことができれば、面接官はより鮮明にあなたがその職場で働く姿をイメージできます。

保健師の役割を学び自分なりの考えを整理しておく

保健師の役割や最新の保健政策を学んでおくこと、そして、地域の健康課題や予防医療の重要性について自分なりの考えを整理しておくことが大事です。

これらのことを踏まえて、なぜその職場を選んだのか、具体的な理由も面接の回答に織り込むことができれば、より説得力が増します。

以下の記事では、採用面接に受かる人の特徴を解説しています。看護師の面接対策に絞った内容ですが、必ず参考になると思いますので、是非ご参考ください。

ステップ❺:退職の申し出

退職の申し出期限を確認する

転職が現実的に決まったら、師長などの人事責任者に退職の申し出をします。

退職の申し出の期限は各職場でルールが決められているはずなので、転職を意識し出した時点で就業規則等を確認しておくことをお勧めします。

できるだけ時間的余裕をもって申し出する

急な退職日の設定は、欠員補充のための中途採用や内部異動の人事手続に時間を要するため、避けるようにしましょう。

現在の職場に迷惑がかからないよう、良好な関係を維持しながら職場を後にする意識がとても重要です。

まとめ

この記事では、看護師と保健師の仕事内容の違いや転職のメリット・デメリット、具体的な転職の流れについて紹介してきました。

最後に、看護師さんが保健師へ転職するメリットとデメリットをまとめたいと思います。

メリットデメリット
●ワークライフバランスが改善する
●精神的・身体的な負担を軽減できる
●長期的に働きやすい
●多様なキャリアパスが叶う
●予防医療へ貢献できる
●求人が少なく競争率が高い
●給与が下がる場合もある
●臨床スキルが低下する
●環境変化への対応が必要

上記のようにメリットとデメリットを挙げましたが、あなたに合った働き方を見つけ、保健師への転職を成功させるためには、その他の条件も充分に比較したうえで検討を行うことが重要になります。

この記事を参考に、転職を考えている看護師さんの有意義なキャリア形成に役立てていただけると幸いです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

吉澤社労士事務所代表。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)。医療機関で25年間事務職に従事。総務、経理、医事、健診部門など幅広く経験を積み、2024年4月に独立。地元・東京都日野市にて医療機関専門社労士として活動中。
看護師さんの働き方や転職活動のこと、病院人事担当者の本音などを発信しています。今後ともよろしくお願いします。

目次