40代看護師の転職は本当に難しいのか?年齢よりも大切な能力と理想の職場を見つける方法とは

顎に右手を添えて考えるポーズをとる女性看護師

「40代になると転職が難しくなるらしい」

こんな噂を気にして転職に焦りを感じたり、躊躇している看護師さんも、意外に多いのではないでしょうか。

このまま定年まで今の職場にいるべきか、それとも新天地に足を踏み入れるべきか…

この記事では、40代の看護師さんの転職がなぜ難しいと考えられているのか、その事情を詳しく解説し、転職成功に向けた取り組みの手順や具体的な候補先についても紹介しています。

なお、筆者は元病院人事として様々な背景を持つ看護師さんの採用に関わってきました。

是非この記事を読んでいただき、今後のキャリアプランや転職活動の参考にしていただけるとうれしいです。

目次

そもそもなぜ40代で転職したくなるのか?

一般的に、40代になると転職は難しくなると考えられています。常に人手不足を抱える看護の世界でも、同じように言われることもあるようです。

しかし、そもそも、なぜ40代の時期に転職を考え始める人が少なからずいるのでしょうか。ここでは、人の一生という視点から、40代特有の課題について考えたいと思います。

40歳前後は「人生の正午」

スイスの精神医学者・ユングは、人の一生を前半と後半に分けて考え、40歳前後の時期を「人生の正午」と考えました。

そして、人生の正午をまたぐ前半と後半の移行期を「中年期の転換点」ととらえ、この時期を「人生最大の危機」と考えたのです。

40歳前後という「人生の正午」を過ぎたあたりから、体力や記憶力の低下や健康上の懸念を感じることが多くなります。その一方で、豊富な人生経験による適切な判断力や深い洞察力、若年者への指導力などが強みとなります。

ユングによると、40歳前後を境とする人生の後半は、人生の前半にやり残したことに対する洞察を深め、自分らしくあること、つまり自己実現をしていく時期と考えられています。

  • 人生の前半→学ぶこと、愛すること
  • 人生の後半→自分らしくあること

このように、40代という時期はライフステージの過渡期にあたります。

あなた自身がどうありたいのか、どうあるべきと考えるのか。自分自身の内省を深め、変化に合わせた新たなキャリアステップを考える重要な時期であるということが言えるのです。

40代で考えられる具体的な転職パターン

上記を踏まえ、40代看護師で考えられる転職理由について、いくつか挙げてみたいと思います。

転職パターン①:キャリアアップの意欲

20年近く築き上げたこれまでの看護経験を活かして、より専門性を高めるための転職や管理職を目指したキャリアアップを図りたいと考えるため。

転職パターン②:新たなチャレンジ

子育てが落ち着いた時期に、新たな環境で自己実現やスキルアップを目指したいと考えるため。

転職パターン③:看護観の実践

新人から今まで現場で行ってきた看護業務を振り返り、本来目指していた価値観に基づく看護の実践に向けて環境変化を求めるため。

転職パターン④:ライフスタイルの変化

家族の状況や介護の必要性、自分自身の健康に合わせて、ワークライフバランスの向上を図るため、勤務時間の柔軟さや夜勤の少ない職場環境を求めるため。

転職パターン⑤:育児との両立

小さな子供がいる場合、仕事と育児の両立が難しくなることから、より柔軟な勤務形態を求めるため。

転職パターン⑥:体力面の懸念

夜勤や長時間勤務の繰り返しに体力の低下を感じ、仕事のペースを下げることを考え始めるため。年齢が上がるとともに体力面での懸念を感じ、働き方の見直しを検討しだすのもこの時期です。

転職パターン⑦:人間関係の悩み

管理職としての重圧や職場での人間関係のストレスが蓄積し、環境の変化を求めるため。看護師長であれば、患者さんのケアよりも部下のマネジメントや関連部署との調整に時間を割かなければならず、ストレスの原因になります。

40代看護師の転職はなぜ難しいと言われるのか?

机の上のノートに「WHY?」と書かれたイラスト

それでは、なぜ40代の転職が難しいと言われるのでしょうか。それには、以下のような理由が考えられそうです。

難しい理由①:新しい環境への適応の懸念

なかなか転職に踏み出せないと考える看護師さんは、長年同じ職場で働いている方も多いと思います。この場合、確かな看護スキルと知識は評価される一方で、柔軟性の観点から、新しい職場環境への適応が難しいと見なされる可能性もあります。

難しい理由②:専門性の偏りの懸念

特定の診療科での経験が長い場合は、異なる領域への転職が難しくなると判断される可能性があります。

難しい理由③:体力面の懸念

看護師が働く職場は多岐にわたりますが、特に急性期病院など体力を要する職場では、若手看護師が好まれる可能性があります。

難しい理由④:家庭と仕事の両立の懸念

40代は、育児や介護など家庭と仕事の両立が必要となる時期であるため、フルタイムでの勤務や決められた回数の夜勤が難しくなると判断される可能性があります。

難しい理由⑤:人件費の懸念

経験年数に応じて給与を設定する職場では、人件費の観点から若手の看護師が優先される可能性があります。

40代でも採用される看護師の共通点とは?

虫眼鏡の中央に「POINT」と書かれたイラスト

40代看護師の転職が難しいと言われる理由について紹介しましたが、実際のところ本当に難しいのでしょうか。

結論から申し上げると、一般的に考えられているほど40代看護師の転職が難しいと考えていません。

なぜなら、多くの医療現場では、「年齢」という側面よりも、40代看護師が身につけている

  • 「即戦力」
  • 「コミュニケーション能力」

という側面を重視するからです。

より重視される、この2つの能力について詳しく解説します。

共通点①:年齢よりも重視される「即戦力」とは 

多くの医療機関では、常に、「即戦力」の看護師さんを探し求めています。特に病棟においては、その考え方が顕著になります。

40代の看護師さんは、長年の経験で培った専門知識や看護技術が評価され、即戦力として期待されます。さらには、豊富な経験に裏打ちされた様々な状況への対応能力が求められます。

以下、新たな職場で即戦力として活躍するために必要とされる、具体的要素を紹介します。

要素①-➊:看護技術が高いこと

最新の医療に対応できる高い看護技術が求められます。患者の状態を正確かつ迅速に把握し、適切なケアを提供する能力が問われます。

要素①-➋:看護経験が豊富であること

豊富な看護経験が求められます。内科系から外科系まで幅広い分野での看護の実践や、手術室など専門特化の看護の実践をベースにした、様々な患者さんへの対応力が問われます。

要素①-➌:チームをまとめる能力が高いこと

組織をまとめるリーダーシップや後輩の育成能力、問題解決能力が重視されます。個人だけではなくチームやメンバーの視点で組織を考える能力が求められます。

共通点②:年齢よりも重視される「コミュニケーション能力」とは

多くの医療機関では、「コミュニケーション能力」を備えた看護師さんを探しています。コミュニケーション能力とは、具体的に以下のことを言います。

伝える力1.言語話す(書く)内容・言葉選び・感情への働きかけ
2.非言語表情・身振り手振り・声のトーン
受け取る力3.聴く力相手の話の意図や内容を正確に理解
4.読み取る力相手の言語・非言語情報から真意・本音を理解、推測
コミュニケーション能力に必要な4つの要素(筆者作成)

この「コミュニケーション能力」は、特別に高くなければ転職できない、というようには考えていません。これらの能力を活用し、患者さんのために実践される医師や他職種とのやり取りが円滑にできればいいと考えています。

しかし、現実的には、看護師が患者さんの診療に関する人間関係の中心となることも事実ですので、相当程度のコミュニケーション能力が必要になることは否定できません。

以下に必要となる具体的な要素を紹介します。これらの要素を活かすことで、患者ケアの質を向上させるとともに、職場全体のコミュニケーション環境の改善にも貢献できるかもしれません。

要素②-➊:傾聴力と共感力が高いこと

40代の看護師には、患者さんの言葉の奥にある真意を汲み取る能力が求められます。

長年の看護経験を活かし、患者さんの微妙な表情や態度の変化を察知し、適切に対応できることが期待されます。

要素②-➋:看護対応力が多様であること

年齢や背景の異なる数々の患者さんに対して、適切にアセスメントを行い、ケアの内容を柔軟に変える能力が期待されます。

例えば、高齢の患者さんには丁寧でゆっくりと、子供の患者さんにはより親しみやすい対応を心がけるなど、状況に応じた適切なケアが求められます。

要素②-➌:後輩への指導力が高いこと

40代ともなると、若手看護師の指導や育成の役割も担うことが多くなります。

後輩に対して適切なアドバイスや指導を行い、上司との橋渡し役を担うなど、チーム全体のコミュニケーションを円滑にする役割が期待されます。

要素②-❹:多職種連携に長けていること

看護師さんは、患者さんの診療に関する関係者のコミュニケーションの中心役を担うケースが多いです。

これまでの豊富な経験を活かし、医師への問いかけや他の医療スタッフとの円滑な情報共有や連携が求められます。

要素②-❺:ストレス対処能力が高いこと

40代になると、自身の感情をコントロールし、ストレスの高い状況においても冷静に対応する能力が求められます。

患者さんや医師、同僚との関係において、適切な距離感を保ちながら、専門的かつ温かい対応ができることが期待されます。

40代看護師に人気の職場3選|心身の負担が少なく長く働ける環境とは

もし40代から看護師の転職を考える場合、どのような職場が現実的な転職候補先となるのでしょうか。

ここでは、厚生労働省の資料を紹介しながら、具体的な転職先の候補についても考えていきたいと思います。

年齢が高くなるほど病院勤務者が減る現実

厚生労働省が取りまとめた第1回看護師等確保基本指針検討部会「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況に関する参考資料」から、年齢別の看護職員勤務先割合を紹介したいと思います。

この資料において、厚生労働省は、以下のとおり結果を述べています。

「年齢階級別の看護職員の就業場所については、年齢階級が低くなるほど病院で就業する割合が高く、年齢階級が高いほど介護保険施設等で就業する割合が高くなる。」

同じ資料から、病院における看護師の就業割合のデータを抜粋して下の表にまとめました。

年齢看護職員病院就業割合
~25歳93.6%
30~34歳75.7%
40~44歳60.3%
50~54歳48.4%
60~64歳39.2%
年齢別・看護職員の病院就業割合
出典:「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況に関する参考資料」

ご覧のとおり、25歳未満看護職員の病院就業割合が93.6%もあるのに対し、40代前半は60.3%に減っています。

減った分の看護師さんがどこに流れたのかというと、クリニックや介護施設などであり、以下の表を見れば一目瞭然です。

「年齢階層別看護職員の就業場所(2020年)」を表したグラフ

出典:厚生労働省・第1回看護師等確保基本指針検討部会
06 参考資料1:看護師等(看護職員)の確保を巡る状況に関する参考資料

以上のように、現実的には、年齢を重ねるほどクリニックや介護施設に活躍の場を移している看護師さんが多いことがわかりました。

次に、これらの職場の特徴やメリットについて解説したいと思います。

クリニック・介護施設・訪問看護の特徴とメリット

40代から看護師として活躍の場を移す職場の候補先として、

  • クリニック
  • 介護老人保健施設
  • 訪問看護ステーション

の3つがあります。

これらは、看護師として培った豊富な経験を活かしながら、ワークライフバランスや専門性を向上させるなど、個人のニーズに合わせて選択できる職場であることが知られています。

40代を境に、あなたがどうありたいのか。長期的に働くために、希望するキャリアプランと職場環境のバランスを十分考慮して選択することが重要です。

以下、3つの職場について、それぞれ特徴・メリット・注意点を挙げていきたいと思います。

➊クリニック

クリニックは、夜勤がなく、土曜の午後や日祝に休みやすいため、ワークライフバランスを重視する方に適しています。経験豊富な看護師さんがもつ即戦力や、コミュニケーション能力が活かせる職場です。

➊クリニックのメリット
  • ワークライフバランスが向上する
  • 仕事内容が比較的シンプルで精神的な負担が軽減される
  • 地域の患者さんとじっくり向き合う働き方ができる
➊クリニックの注意点
  • 少人数のため即戦力として期待される
  • 少人数の職場においてコミュニケーション能力が問われる
  • 夜勤がないため給与水準が下がる可能性
  • 事務作業を含めたオールマイティな能力が必要

クリニックの働き方については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参考ください。

➋介護老人保健施設

介護老人保健施設は、ブランクがあっても働きやすく、40代以上の多くの看護師さんが活躍している職場です。豊富な看護現場での経験を活かしながら、家庭との両立や長期的なキャリア形成を目指せます。

➋介護老人保健施設のメリット
  • ワークライフバランスが向上する
  • 利用者と長期的な関わりを持てる
  • 心身の負担が軽減する
➋介護老人保健施設の注意点
  • 一般病棟のスキル維持には工夫が必要
  • 施設によっては夜勤がある
  • 給与が病院勤務より低い場合がある
  • 看取りや認知症患者への対応に精神的な配慮が必要

➌訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、医療機関での豊富な経験を活かしながら、地域密着の看護に貢献できる職場です。ワークライフバランスを重視した働き方もできる転職候補先となります。

➌訪問看護ステーションのメリット
  • ワークライフバランスが向上する
  • 豊富な臨床経験を活かして幅広い経験を積める
  • 在宅医療の専門知識や技術を習得できる
  • 心身の負担が軽減する
➌訪問看護ステーションの注意点
  • オンコール対応の可能性
  • 患者や家族との良好な関係構築がより重要
  • 病院より給与が低い場合がある
  • 自分一人だけで患者のケアを行う確かなスキルと責任感が必要

40代からの転職を成功に導く5つのステップ

付箋に「STEP1」から「STEP4」まで順に矢印で書かれたイラスト

ここでは、40代から転職するために必要となる具体的なステップを紹介します。

次の5つのステップを丁寧に進めることで、転職を成功に導く可能性が高まると考えます。

STEP①:自己分析の徹底

強みや価値観を探る

前の項で、40歳前後は「人生の正午」であると説明しました。すでに内省を深めている方も多いと思いますが、改めて充分時間をかけて自己分析を行うことから始めます。

あなたの特性や強み、働くうえで譲れない価値観などを分析するのです。

転職の目的を言語化する

次に、あなたが本当に希望する業務内容、勤務条件を明確にし、転職の目的を再確認します。

ここで大事なのは、なぜ今の職場ではなく他の職場へ移るのか、その理由をより明確にするためにも必ず言語化しておくことです。

後に訪れる面接の機会で担当者が納得できるほどの転職理由を、この段階で固めておくことが重要です。転職の理由、目的が固まることで、あなたにとっての最適な職場が見つけやすくなります。

転職の際の具体的な自己分析の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご参考ください。

STEP②:自分に最適な職場を選ぶ

希望する分野を明確にする

自己分析であなたの価値観や転職の目的が定まったら、転職候補先となる職場の選定を行います。自己分析に基づき、病院、クリニック、介護施設などの候補先から、あなたに最適な職場を探します。

転職サイトの活用を検討する

特に働きながら転職活動をする場合は、転職エージェントを活用して効率的に情報収集することをお勧めします。

転職エージェントに依頼しておけば求人情報の提供はもちろんのこと、履歴書作成や面接対策などの支援も行ってくれるので、上手に活用しましょう。

以下の記事で、転職サイトの活用方法について解説していますので、併せてご参考ください。

勤務条件や福利厚生を比較検討する

職場選びでは、必ず勤務条件や福利厚生も比較して検討しましょう。ワークライフバランスの充実や長期就業を考える際の重要なポイントになりますので欠かさずチェックします。

事前に職場見学しておく

可能であれば、職場見学を依頼して、求める看護師像や諸条件などの情報を得ておくことをお勧めします。

ホームページや応募資料からでは伝わらないリアルな職場の雰囲気を事前にチェックしておくことは、転職を成功に導く重要なステップだと考えます。

STEP③:応募書類を準備する

豊富な経験をアピールする

候補先が絞れたら、履歴書や職務経歴書を作成します。自己分析で整理したとおり、これまであなたが長く看護師として培ってきた知識やスキル、実績を具体的に記載し、自己PR文をまとめます。

ここで大事なのは、転職候補先で予想される仕事内容に合わせて自己PR文をアレンジして作成することです。

あなたがもつ豊富な経験や強みを新しい職場でどのように活かして貢献できるのか。これらを具体的に訴求できれば、あなたより経験年数の少ない看護師との差別化が図れます。

採用担当者からはより理解が得られ、転職活動を有利に進めることができるはずです。

明確な志望理由と将来のビジョンを示す

志望動機には、自己PR文と合わせて、自己分析で言語化した志望理由を明確に記載します。

ここでも、転職候補先での仕事内容に合わせた文章にすることが大事です。なぜ今の職場から候補先の職場に転職したいのか、候補先の看護師としてどのように活躍したいのか、将来のビジョンとともに記載します。

さらに、候補先の地域が抱える医療や看護の課題を事前に調べ、自身の考えとともに強みの活用の仕方を織り込むことができれば、採用担当者によりアピールすることができるでしょう。

STEP④:面接対策を行う

想定問答を練習する

応募書類を準備しつつ、志望する候補先に合わせて、面接で想定される質問の回答を準備しておきます。転職支援のサービスも活用しながら、これまでの職務経歴、志望動機、自己PRを明確に伝えられるよう練習しておくと安心です。

面接の最後で聞かれる逆質問も考えておきましょう。何も質問しないというのは消極的に取られる可能性がありますので、積極的な印象を与える質問をして、面接を終えられるようにするのがベターです。

具体例やエピソードを準備する

面接の回答を考えるうえでは、これまでの看護経験を候補先の業務にどう活かせるのか、具体的なエピソードを準備しておくことがポイントになります。

それができれば、面接官はより鮮明にあなたがその職場で働く姿をイメージできます。

40代看護師としての役割を認識し自分なりの考えを整理しておく

多くの経験を積み上げてきた分、個人のスキルの視点だけではなく、チームやメンバーの視点で組織を考える能力が求められます。

そのため、40代看護師として当然求められるスキルや知識はもとより、チームの中での役割を事前にしっかりと意識しておくことが非常に重要です。

これらのことを踏まえて、なぜその職場を選んだのか、具体的な理由も面接の回答に織り込むことができれば、より説得力が増します。

以下の記事では、看護師の採用面接に受かる人の特徴を解説しています。是非ご参考ください。

STEP⑤:退職の申し出をする

退職の申し出期限を確認する

転職が現実的に決まったら、師長などの人事責任者に退職の申し出をします。

退職の申し出の期限は各職場でルールが決められているはずなので、転職を意識し出した時点で就業規則等を確認しておくことをお勧めします。

できるだけ時間的余裕をもって申し出する

急な退職日の設定は、欠員補充のための中途採用や内部異動の人事手続に時間を要するため、避けるようにしましょう。

現在の職場に迷惑がかからないよう、良好な関係を維持しながら職場を後にする意識がとても重要です。

40代看護師の転職|成功する人と失敗する人の違い

40代からの転職では、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。

ここでは、採用担当者の視点から、転職がうまくいくタイプと、うまくいかないタイプを表にまとめて整理したいと思います。

うまくいく看護師の特徴うまくいかない看護師の特徴
自己研鑽に励み、専門性を高めているこれまでの経験にこだわり、新しい知識や技術の習得に消極的
転職の目的が明確で、自身のキャリアプランと一致している転職の目的が不明確で、自身のスキルと転職先のニーズがマッチしていない
柔軟性があり、新しい環境に適応する意欲が高い変化を恐れ、適応力が低い

40代からのキャリアチェンジ|看護師以外の選択肢も視野に入れよう

小さな黒板に白のチョークで「CHANGE」と書かれたイラスト

最後に、看護師以外の選択肢についても考えてみたいと思います。

看護師の知識や経験は、あたなの想像以上に様々な分野で活用できます。ここで紹介するのは、その一部となります。

新たな働き方への挑戦

40代ともなると子育てや介護など様々な背景を抱えながら日々の業務に励んでいる看護師さんも多いのではないでしょうか。

現実的に、看護師以外でどのような職場が自分に適しているのか想定しておくことも、重要な準備のひとつと言えます。

以下の職種は看護師として培った経験や資格を活かせるだけでなく、家庭との両立もしやすい環境と考えられます。

①医療関連の職種

★治験コーディネーター(CRC)
業務内容

治験に参加する患者さんと医師、製薬会社の間で調整を行い、治験がスムーズに進むようサポートします。

メリット

看護師としての知識や患者対応力が活かせます。夜勤がなく、カレンダーどおりの働き方の職場が多いです。

★産業看護師
業務内容

企業内で従業員の健康管理や予防指導を行います。

メリット

カレンダーどおりの働き方の職場が多いため、家庭との両立がしやすい環境です。

★クリニカルスペシャリスト
業務内容

医療機器メーカーで医療機器の操作説明や販売サポートを行います。

メリット

看護師として扱ってきた機器の知識や医療現場のニーズを理解したうえで、製品の提案営業ができます。

②福祉・教育関連の職種

★保健師
業務内容

保健師資格を有する場合、医療機関や行政、企業、学校において、健康指導や予防活動を行います。

メリット

予防医療に携わることで、より多くの人々の健康の維持・増進に貢献できます。公的機関での勤務が多いため、安定した環境で働けます。

★看護学校教員・講師
業務内容

看護学生への指導や教育を担当します。

メリット

豊富な看護経験を活かしながら、教育分野で次代の看護師養成に貢献できます。

★保育園看護師
業務内容

園児の健康管理やケガ・病気への対応を行います。

メリット

子どもと関われる仕事です。日勤のみで家庭との両立がしやすく、働きやすい環境です。

★介護支援専門員(ケアマネージャー)
業務内容

介護支援専門員の資格を有する場合、高齢者のケアプラン作成やサービス調整を行います。

メリット

医療の面から看護師としての知識が活かせます。日勤のみでデスクワーク中心の働きやすい環境です。

③その他の職種

★医療事務・受付スタッフ
業務内容

病院やクリニックで受付業務や事務作業を担当します。

メリット

医療知識を活かしながら、馴染みのある環境で働けるため、精神的な負担が軽くなります。

他職種を選ぶうえでの考え方と注意点

それぞれの職種のメリットについて触れてきましたが、実際に看護師から上記の職種に転職する前に、認識しておくべき考え方と注意点について、3点挙げたいと思います。

  1. 自分のライフスタイル(勤務時間、勤務地など)と家庭環境に合った職種を選ぶこと
  2. 転職先の仕事内容や必要なスキルを事前に調べ、実際に自分の経験が活かせる仕事か確認すること
  3. 資格取得が必要な場合は計画的に準備すること(例:保健師資格、介護支援専門員資格など)

まとめ

この記事では、40代看護師さんの転職事情について解説し、転職成功のための対策や具体的な候補先について紹介してきました。

最後に、40代看護師が転職する際に何よりも求められる能力と要素についてまとめたいと思います。

即戦力看護技術が高いこと
看護経験が豊富であること
チームをまとめる能力が高いこと
コミュニケーション能力★傾聴力と共感力が高いこと
看護対応力が多様であること
後輩への指導力が高いこと
多職種連携に長けていること
ストレス対処能力が高いこと

以上の能力を発揮して転職に成功している40代の看護師さんは、実際に多いのです。これらの情報も参考にしつつ、周りに相談しながら納得できる選択をしましょう。

この記事を参考に、看護師さんの有意義なキャリア形成に役立てていただけると幸いです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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この記事を書いた人

吉澤社労士事務所代表。社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)。医療機関で25年間事務職に従事。総務、経理、医事、健診部門など幅広く経験を積み、2024年4月に独立。地元・東京都日野市にて医療機関専門社労士として活動中。
看護師さんの働き方や転職活動のこと、病院人事担当者の本音などを発信しています。今後ともよろしくお願いします。

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