Q. 転職を考え始めたのですが、まず何から手をつければいいですか?
「そろそろ転職しようかな」と思い始めたとき、多くの人がまず求人サイトを開きます。
しかし元病院人事として多くの転職者の面接をしてきた立場から言うと、求人を探すより先にやるべきことがあります。
それは「なぜ転職を考えているのか」を整理することです。
この順番を間違えると、流れに身を任せた転職活動になりやすく、転職後に「また同じ状況になった」という後悔につながりやすくなります。
この記事は、転職を考え始めた看護師が、「動く前に整理すべきこと」を確認するためのページです。
結論:

求人を探す前に「なぜ転職を考えているのか」を整理することが先です。
転職活動を始める前の「心の準備」が、転職の質を大きく左右します。
準備なく動いてしまうと、本来望んでいない働き方をまた選んでしまうリスクがあります。
逆に、整理してから動くと「次に何を求めるか」が明確になり、判断の精度が上がります。
データで見る「看護師が転職を考える理由と取りやめる理由」

まず、転職を考える看護師の実態をデータで確認します。
株式会社エス・エム・エスが全国の看護師1.9万人を対象に行った「看護師の働き方に関する意識調査」(2023年)によると、現在の職場に「やや不満」「不満」と感じている看護師は、合わせて約4割にのぼることがわかりました。
以下の資料は、前職を退職した理由の上位です。
1位「上司との関係への不満」28.1%
2位「勤務時間が長い・残業が多い」25.3%
3位「処遇面への不満」16.5%
4位「業務内容が合わない」16.1%
5位「同僚との関係に不満」15.7%
ここで注目すべきは次の資料、転職活動を開始しながら「取りやめた」理由です。
1位「人間関係が改善された」40.6%
2位「異動ができてやりたい仕事ができる環境になった」31.3%
3位「勤務時間や休日などの労働条件が改善された」30.7%
4位「給与が改善された」17.9%
転職を取りやめた理由の上位は、いずれも「今の職場の中で解決できた」ことによるものです。
つまり、転職を考え始めた段階では、「転職しなければ解決できない問題なのか」を確認することが最初のステップになります。
病院人事の立場から見た「準備できている人・できていない人」

採用担当として転職者の面接を数多く経験してきた立場から、率直にお伝えします。
準備できている人の特徴
- 「なぜ前の職場を離れたのか」を明確に説明できる
- 「次にどんな看護をしたいのか」が言語化されている
- 「この職場を選んだ理由」が具体的で、施設の特徴と結びついている
こうした候補者は、面接の場でも落ち着いて自分の言葉で話すことができます。
採用側は「この人は自分のキャリアを主体的に考えている」という印象を持ちやすくなります。
準備できていない人の特徴
- 退職理由が「前の職場への不満」で終わっている
- 志望動機が「なんとなく良さそう」「家から近い」ということだけ
- 「自分が何をしたいか」より「今の職場から離れたい」が先になっている
こうした候補者は、どれだけ経験が豊富でも、面接の場で「またすぐ辞めるかもしれない」という懸念を持たれやすくなります。
転職の準備とは、書類を整えることではありません。
「自分がなぜ動くのか、次に何を求めるのか」を言語化することから始まります。
転職前にやるべき2つのステップ

転職活動を始める前に、次の2つのステップを踏むようにして下さい。
理想の生き方を具体化する
自己分析の前に、まず「未来の自分」を想像してみてください。
- 5年後、どんな看護師でありたいか
- 仕事とプライベートをどのように両立したいか
- 看護師として何を大切にして働きたいか
具体的なイメージがあるほど、自己分析の精度が上がります。
「転職したい理由」より「こうありたい姿」を先に描くことが重要です。
自己分析を「濃く、深く」行う
既卒の自己分析は、新卒の時より深さが求められます。
新卒時は「自分の強みや適性を探す」自己分析だったと思います。
一方、既卒は「これまでの経験から何を学び、次にどう活かすか」という実績ベースの自己分析が必要です。
以下の問いを整理してみてください。
- これまでの看護経験の中で、最もやりがいを感じた場面はいつか
- 自分が評価されてきたことは何か
- 反対に、苦手だと感じてきたことは何か
- 今の職場で「解決できないこと」と、「解決できること」を分けるとどうなるか
この整理ができると「次にどんな職場を選ぶか」の判断軸が自然と見えてきます。
以下のフレームワークで自身の能力を言語化、視覚化することができます。自己分析の手助けとして活用してください。
- 「SWOT分析」…自分の強み・弱み・機会・脅威を分析する
- 「ジョハリの窓」…自分視点・他人視点で多角的に自己理解を深める
- 「Will Can Must」…「やりたいこと」「できること」「すべきこと」からキャリアを考察する
自己理解と並んで重要なものに仕事理解があります。
こちらの2つの記事では、看護師にとっての働きやすい職場の特徴と、避けた方がいいNG職場の特徴をそれぞれ解説しています。


年代別転職活動のポイントについて、医療介護求人サイト「ジョブメドレー」に筆者のコメントを掲載いただきました。
▶ 記事を読む(外部サイト・ジョブメドレー「初めての転職、何社受けるのが正解?71万人のデータからわかった応募数の目安」)
よくある質問(FAQ)

転職すべきかどうかまだわからない段階です。どうすればいいですか?
わからない段階ですぐに求人を探す必要はありません。
まずステップ①(理想の生き方を具体化する)だけを試してみてください。
「こうありたい姿」を描いてみると、今の職場で実現できるのか、できないのかが少し見えてきます。
それだけで「転職すべきかどうか」の判断が整理しやすくなります。
自己分析のやり方がよくわかりません。
難しく考えなくても大丈夫です。
「これまでの看護経験でやりがいを感じた瞬間」を3つ思い出してみることから始めてください。
そこに共通するものが、あなたが大切にしている看護観や強みの手がかりになります。
一人で整理しにくい場合は、信頼できる先輩や外部のキャリアコンサルタントに話を聞いてもらうことも有効です。
転職と異動、どちらを先に考えるべきですか?
前掲したデータが示すように、転職を取りやめた理由の上位は「今の職場の中で解決できた」ものです。
まず「今の職場で解決できないか」を確認することをお勧めします。
異動の希望を上司に伝える・業務内容の調整を相談するなど、試し切れていないことがあれば、それが先です。
それでも解決しないと判断できたときに、転職を前向きな選択肢として検討するようにしてください。
参考:
まとめ

転職を考え始めたとき、まずすべきことは求人を探すことではありません。
- 「なぜ転職を考えているのか」を整理する
- 今の職場で解決できることがないかを確認する
- 理想の生き方を具体化し、自己分析を深める
この順番で動くことが、転職の質を高め、後悔しない選択につながります。
「転職していいのか決められない」という場合に、どのような視点で判断すべきなのか、以下の記事で解説しています。

整理したいけれど一人では難しい、という方はぜひご相談ください。
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