Q. 転職しないと決めた看護師は、何を基準に今の働き方を見直せばいいのでしょうか?
A.「転職しない」という判断は、「何もしない」という選択ではありません。
今の職場で「何を整えれば、この先も無理なく働き続けられるか」を具体的に整理することが大切です。
「辞めたい気持ちはあるけれど、今すぐ転職する決断はできない」
そんな状態で無理に結論を出そうとすると、迷いはかえって強くなります。
本記事では、今の職場で働き続けると決めたときに、心と体を守りながら「納得感」を持って働くための3つの視点を整理します。
「転職しない」は逃げでも、我慢でもない

「今はまだ、転職すべき時ではないかもしれない」
「でも、このまま我慢し続けるのも限界……」
そんなふうに、「転職しない」としながらも、心のどこかで不安を感じている看護師の方は多いものです。
元病院人事として多くの看護師の採用・退職に携わってきた立場からお伝えしたいのは、
「今は転職しない」という決断は、現状からの逃げでも我慢でもない、ということです。
- 「辞めない=我慢している」
- 「転職しない=行動していない」
このように考える人がいますが、転職はあくまでも選択肢のひとつ。
自分の状況を冷静に分析した結果、
「今はここで経験を積む」
「今の生活環境を維持する」
と決めるのも、立派な意思決定です。
決断を先延ばしにしているのではなく、自分の意志で「留まる」ことを選んだ自分を、まずは肯定してあげてください。
そして大切なのは、「何となく耐え続けること」ではなく、「納得したうえで現状を選ぶこと」です。
そのためには、「転職するかどうか」といった視点ではなく、「今の働き方をどう整えるか」に目を向ける必要があります。
【転職しない選択をするときの考え方フロー】

この流れで整理できていれば、「転職しない」という判断は、先延ばしではなく、意図的な選択になります。
視点① 今の職場で「変えられること」は何か

「転職しない」と決めたなら、次は、
「今の職場を少しでも働きやすくするために何ができるか」
を考えます。
すべてを解決しようとする必要はありません。100点を目指すのではなく、現状の不満を30点から50点に引き上げることをイメージしてみてください。
そのイメージで以下の点を確認してみましょう。
- 業務量・夜勤・配置の調整:
師長や上司に対し、体力的・精神的な限界を数値や具体例で相談する余地はありませんか? - 人間関係の工夫:
苦手な人との接触を最小限にするための物理的・心理的な工夫はできないでしょうか。 - 働き方のカスタマイズ:
短時間勤務や固定休の活用など、制度面で利用できるものがないか再確認します。
「無理だ」と思い込んでいたことでも、言葉にしてみると調整できる場合もあります。
大切なのは「100点満点の職場」を求めるのではなく、「これなら続けられる」というラインを模索することです。
視点② 自分の「限界ライン」を言語化する

働き続けることを選んだとしても、際限なく我慢してしまっては心身を壊してしまいます。
そうなる前に、自分の中での「これ以上は無理」という限界ラインを明確にしておきましょう。
- 体調のサイン:
眠れない、食欲がない、仕事に行こうとすると涙が出るなど。 - 生活のサイン:
家族との時間が全く取れない、趣味を楽しむ余裕がゼロになったなど。
限界を言葉にせずに働き続けて、気づいたときには心身が限界を超えていた、ということがよくあります。
「ここまでは頑張れるけれど、このラインを超えたら働き方の見直しをする」
このように決めておくことで、曖昧な不安に飲み込まれるのを防ぐことができます。
「我慢できる・できない」を整理することは、甘えではなく「自分を守るための判断材料」です。
視点③ 「期限付き」で見直す

「転職しない」と決めたとしても、それは永遠に続く決断である必要はありません。
「期限付きで様子を見る」と決めることで、心の負担はぐっと軽くなります。
おすすめは以下のような見直しの仕組みです。
- 3か月・半年での区切り:
「次のボーナスまで」「新人教育が一段落するまで」と区切りをつけます。 - 状況の変化を確認:
その期間が来たときに、
✓ 状況は変わったか
✓ 変えたい点は改善されたか
✓ 自分の気持ちはどう変化したか
を再評価します。
再評価することにより、「判断の先送り」ではなく、「判断を予約しておく」という状態になります。
こうした考え方が、自分の意思決定に納得感を生むカギになるのです。
よくある不安(FAQ)

転職しない選択をして、後悔しませんか?
条件と期限を決めたうえで判断している場合、後悔よりも納得感が残りやすい傾向があります。何も考えずに我慢するのではなく、整理したうえで選んだ判断は自分を支える材料になります。
周囲に「辞めないの?」と言われて迷ってしまいます
周囲の意見と、自分の判断軸は分けて考えて大丈夫です。あなたの体調や価値観を最も理解しているのはあなた自身です。最終的な判断は、自分が納得できるかどうかを基準にしましょう。
「転職していいのか迷ったとき」の全体像も確認してみてください

この記事は、「転職していいのか迷ったとき」に考える判断整理のための材料の一部です。
もし、また「本当にこれでいいのかな?」と迷いが生じたときは、「判断の軸」に立ち返ってみることをお勧めします。
感情の整理から判断までを一度整理したい方は、以下のページも参考にしてみてください。
▶︎ 看護師が「転職していいのか迷ったとき」に考えるべき3つの視点
まとめ:今の自分に合った判断を積み重ねる

「転職しない」という選択は、あなたが現状を改善しようと向き合った結果の、前向きな一歩です。
大切なのは、感情に流されるのではなく、今回整理したような視点を持って、自分自身で納得できる選択を積み重ねていくことです。
感情と判断を分けて考えながら、自分にとって無理のない働き方を少しずつ整えていきましょう。

