Q. 看護師が事務職への転職を考えたとき、まず何から整理すべきでしょうか?
夜勤や業務負担、将来への不安などから「事務職」を考える方も少なくありません。
いきなり転職活動に進む前に、はじめに整理しておきたいポイントがあります。
結論:転職活動の前に、はじめに整理すべきこと

結論から言うと、いきなり転職活動に取りかかる前に、「なぜ事務職への転職を考えているのか」を丁寧に整理することが大切です。
理由を明確にしないまま動いてしまうと、後々ミスマッチや後悔につながる可能性があるからです。
転職を考える前の思考整理が重要な理由

なぜ転職の前に考えを整理する必要があるのか、重要な理由を挙げます。
- 看護師としての責任感や身体的負担の大きさから離れたい、といった動機は一つの側面に過ぎません。
- しかし、事務職といっても職場環境・業務内容・求められるスキルは大きく異なります。
まず、
「どんな背景から転職を考えているのか」
を自分の言葉で整理することが、後の選択を誤らないための土台になります。
看護師が事務職を検討する背景とは?
なぜ看護師が事務職を検討するのか、ここで整理します。
◉背景1:プレッシャーや精神的疲労
看護師は患者の健康に深く関わる責任があり、精神的・身体的負担が大きい職種でもあります。
こうした負担から離れたいという思いが転職の動機になることがあります。
◉背景2:ワークライフバランスを求めて
看護職は夜勤や不規則なシフトが多く、生活リズムが不安定になりがちです。
より規則的な生活を求めて事務職を考える人も多くいます。
ワークライフバランスが取りやすい職場は看護師にとって働きやすい職場のひとつです。以下の記事で詳しく解説していますので、併せてお読みください。

◉背景3:キャリアの方向性を再考したい
看護師としての将来に不安を感じ、別の職種でスキルや経験を活かしたいという思いも、転職動機として一定数あります。
看護師から考えられる事務職の種類

事務職への転職先は大きく分けると次の2つがあります。
◉医療機関内の事務職
病院やクリニック内で働く事務職には、
- 医療事務(受付・会計・診療報酬請求など)
- 総務・人事・経理などのバックオフィス
のように、医療現場の知識を活かしやすい業務があります。
特に医療事務は、患者さんの受付や会計の対応、診療報酬の請求やカルテ管理などが業務の中心になるため、これまで培った医療現場での知識がより役立ちます。
| メリット | デメリット |
| 医療知識を活用できる 心理的な負担が少ない 現場視点を活かし経営に貢献できる | キャリアが限定される 計画的なキャリア形成が必要 給与が下がる可能性 |
なお、医療事務と総務・経理などバックオフィス系事務職の主な違いは、
- 勤務先の規模
- 業務の範囲
- 裁量の範囲
などにあらわれます。これらの違いについて表にまとめました。
| 医療事務 | 総務・経理等(バックオフィス) | |
| 1.勤務先の規模 | クリニックから病院まで、幅広い医療機関で働くことが多い。 | 病床を有する中小規模病院から大規模病院で働くことが多い。 |
| 2.業務の範囲 | 主に患者さんの受付や会計業務、レセプト業務に特化することが多い。 言わばスペシャリストタイプ。 病院では主に医事課に配属。 | 総務、人事、経理、医事、経営企画など、病院運営に関わる幅広い業務を担当。 言わばゼネラリストタイプ。 将来の経営を担う幹部候補となる場合が多い。 |
| 3.裁量の範囲 | 患者さんの対応やレセプト業務に特化するため、運営上の裁量の範囲は限定的。 | 病院の運営に関わる業務を担当するため、より裁量を持って働く機会がある。 |
◉医療以外の一般企業の事務職
一般企業でも看護師として培った医療知識やコミュニケーション能力、アセスメント能力を活かせる仕事があります。
- 製薬会社(MR)
- 治験コーディネーター
- 医療機器メーカー(クリニカルスペシャリスト)
- 医療系IT企業
- 看護師人材紹介会社
- 介護施設
- 健康保険組合
ただし、これら一般企業へ転職する場合、医療機関内での事務職への転職に比べると、新しい環境への適応面に課題があることはあらかじめ認識しておく必要があります。
| メリット | デメリット |
| 新しい経験から視野が広がる ワークライフバランスが取りやすい 看護師時代の一般スキルが活かせる | 専門性発揮の機会が限られる 環境変化によるストレス 給与が下がる可能性 |
看護師と事務職の給料の違い

事務職への検討をする場合、給料面の違いも理解しておくことが大事です。
結論から言うと、看護師と事務職の給料を比較すると、資格の有無や専門性の高さの違いにより、事務職の方が給与水準が低くなることが一般的です。
◉看護師・医療事務・MRの給料の違い
ここでは、①看護師、②医療事務、③製薬会社(MR)の3職種の給料等を表にまとめました。
| ①看護師 | ②医療事務 | ③医薬情報担当者(MR) | |
| 平均年収 | 519.7万円 | 481.4万円 | 618.3万円 |
| 求人賃金(月額) | 26.0万円 | 19.9万円 | 26.4万円 |
| 平均年齢 | 41.2歳 | 43.5歳 | 41.6歳 |
| 有効求人倍率 | 2.41倍 | 1.61倍 | 1.07倍 |
※職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tagより引用し筆者まとめ
◉給料比較のポイント
上記の表のポイントは以下の3点です。
- 夜勤手当の有無
看護師には、夜勤回数に応じて夜勤手当の支給があるため、年収を押し上げる要因となっている。 - 営業手当の有無
医薬情報担当者(MR)には、営業手当や出張手当の支給があることや、営業成績による歩合制を採用する企業もある。そもそも外資系企業が含まれるため給与設定が高く、年収を押し上げる要因に。 - 有効求人倍率の差
表の有効求人倍率だけを見ると一番就職しやすいのは看護師(2.41倍)で、最も就職しづらいのが 医薬情報担当者(MR)(1.07倍)。
◉給料比較の注意点
上記の表を参考に比較、検討する場合に意識しておきたい点は以下のとおりです。
- これらの数値は平均的なものであって、個人の能力や勤務先の規模、地域などにより異なる。
- 看護師の給与は、看護師としての経験年数が反映されやすい賃金体系が多い。
転職前に整理すべきこと(3ステップ)

事務職への転職を整理するための具体的な方法を、3ステップで紹介します。
◉ STEP1:転職の動機を言語化する
ただ「つらいから」ではなく、
- どんな負担が一番大きいのか
- どんな働き方を理想とするのか
を整理することが最初の一歩です。
◉ STEP2:スキルや強みを書き出す
看護師経験で培った知識・対応力・コミュニケーション能力は、事務職でも強みになります。
これらの能力をあなたがどのように活かせるかを具体化します。
◉ STEP3:仕事の条件を明確にする
職種・勤務地・勤務形態・給与条件など、転職後の働き方のイメージを固めることで、ミスマッチを防ぎます。
後悔しない選択肢を選ぶためのより具体的な自己分析の方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひお読みください。

転職活動に進むときの注意点・ポイント

転職を目指す場合の注意点・ポイントを整理します。
- 情報収集は慎重に:
求人票だけでなく、周辺情報や職場の雰囲気も調べる。 - 説明会・エージェントを活用:
第三者の視点が判断材料になる。 - 自己PRの準備:
看護師の強みを活かせる点を明確にする。
(注:転職サイト利用については、慎重な選択を)
転職サイトの活用については、メリット・デメリットを別記事で解説しています。

まとめ:転職前にまず整理すること

本記事では、看護師が事務職への転職を考えたとき、まず何から整理すべきなのか解説してきました。
看護師から事務職への転職は、十分に可能な選択肢です。
ただし、事前に
- 「なぜ転職したいのか」
- 「どんな働き方をしたいのか」
を整理することで、転職活動そのものの精度が大きく上がります。
ぜひ、焦らず自分の価値観と状況を言語化してみてください。
※事務職への転職を検討する前に、「なぜ辞めたいのか」を整理しておくことが重要です。
看護師が「辞めたい」と感じたときに、最初に整理すべき3つの視点
「辞めたい」と感じる背景を整理したあとで、実際に転職すべきかどうか迷う方は、
▶︎ 看護師が「転職していいのか迷ったとき」に考えるべき3つの視点
も参考にしてみてください。
よくある質問(FAQ)

看護師から事務職への転職は本当に可能なのでしょうか?
はい、可能です。
医療機関内の事務職や医療関連企業など、看護師経験を活かせる職場もあります。
ただし、事務職といっても業務内容は幅広いため、事前に仕事内容や求められる役割を確認することが大切です。
事務職に転職すると後悔することはありますか?
業務内容や働き方を十分に理解しないまま転職すると、「思っていた仕事と違った」と感じるケースはあります。
そのため、転職前に「なぜ事務職を選ぶのか」を整理しておくことが重要です。
事務職に向いているかどうかは、どう判断すればいいですか?
向き・不向きを単純に決めることは難しいですが、業務の正確さや調整力、周囲と連携する姿勢は事務職でも重視されます。
看護師として培ってきた経験が、どのように活かせそうかをあなたなりに整理することが判断材料になります。

