看護師が転職を迷う理由①|「今は辞められない」と感じたときの制度・制約の整理法【元病院人事が解説】

メモ帳に「制限」と書かれたイラスト

Q. お礼奉公や奨学金があると、看護師は転職できないのでしょうか?

「今の職場を離れたいけれど、お礼奉公の期間が残っているから無理……」

「奨学金を一括返済する余裕なんてないし、今は我慢するしかない」

辞めたい気持ちはあるけれど、制度やお金のことを考えると、出口がない迷路に迷い込んだような気持ちになりますよね。

しかし、元病院人事として多くの雇用契約を見てきた立場からお伝えしたいのは、

「制度上の制約」と「あなたが転職していいかどうか」は、本来別々に考えていい問題

だということです。

この記事では、制度と感情を切り分け、今の状況を冷静に整理するための考え方を解説します。

目次

結論|制度や制約があっても「転職できない」と決めつける必要はありません

ピンクの付箋に「Answer」と書かれたイラスト

結論から言うと、世の中に存在する多くの制度は、あなたのキャリアを

「絶対的に禁止するもの」ではなく、「条件や時期を定めたルール」

に過ぎません。

大事なのは以下の2点を改めて認識することです。

  1. 制度は「条件付き・時期付き」であることがほとんど
  2. 「辞められない」の正体が、ルールなのか思い込みなのかを分ける

まずは、何が本当の制約で、何が心理的なブレーキをかけているのか、整理することから始めましょう。

看護師が「今は辞められない」と感じやすい制度・制約

白い背景に赤と緑のロゴで「REASON」と書かれたイラスト

ここで、多くの看護師が「動けない」と感じる代表的な要因を整理します。

1. お礼奉公・奨学金返済

最も多いのが「〇年働けば奨学金返済免除」という約束です。

ここで確認すべきは、

「途中退職=即、不利益」という単純な話ではない

という点です。

残りの期間に応じた返済額はいくらか、分割は可能かなど、実務上の運用は病院によって異なります。

2. 雇用契約・慣行・引き止め

次に考えられるのは、

「年度途中は認められない」
「後任がいない」

といった、職場の慣行や上司からの引き止めです。

ここで大切なのは、

「辞められない雰囲気(感情)」と「法的拘束力(ルール)」を分けて考える

ということです。

就業規則に何が書かれているかを知るだけで、不安の半分は解消されるでしょう。

3. 経済的な不安(返済・収入)

また、「今辞めたら損をする」という金銭的な不安も、「動けない」と感じる代表的な要因です。

奨学金の返済義務と生活費のバランスを考えたとき、心理的に「今は動かない方が得だ」という判断に至ることもあります。

これは「辞められない」のではなく、あなたが選ぶ「戦略的な現状維持」です。

制度と感情を切り分けて考える3つの視点

点灯するランプと「Point」という文字のイラスト

迷いを整理するために、以下の3つの視点を持つことをおすすめします。

①「禁止」か「条件」かを確認する

あなたが気にするその制度は、法的に離職を禁じるものでしょうか?

実際には「離職は可能だが、返済の必要がある(=条件)」というケースがほとんどです。

時期をずらせば解決するのか、条件を飲めば離職が可能なのかを客観的に捉えましょう。

② 制度以上に影響している“思い込み”はないか

「今辞めたら裏切り者になる」
「お世話になった人に迷惑をかけるのでは…」

こうした感情は、あなたが看護師として誠実だからこそ生まれるものです。

その感情は否定せず大切にしながらも、「それはルール(制度)の話か、それとも自分の心の話か」を一度切り離して考えてみてください。

③ 今は「判断の準備期間」と考えてもいい

もし制度的に今すぐ動くのが得策でないなら、今は「納得して働き続けるための準備期間」に充てましょう。

  • 情報収集をする
  • 返済シミュレーションをしてみる
  • 自分のキャリアを深掘りする

知識を備えることで、将来の選択肢は確実に広がります。

それでも迷うときの考え方

顎に右手を添えて考えるポーズをとる女性看護師

「制度のことはわかった。でも、結局私はどうすべきなの?」

そう感じるのは、まだあなたの中に「判断の軸」が固まっていないからです。

「辞められるか(制度の問題)」の確認ができたら、次は「転職していいか(判断の問題)」を考えましょう。

制度や制約を含めた上で、あなたの人生にとって今が動くべき時なのか、留まるべき時なのか。

その「判断の視点」については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:制度は“判断材料の一つ”に過ぎない

画用紙と絵具を背景に「まとめ」と書かれたイラスト

本記事は、看護師が「今は辞められない」と感じた時に整理すべき、制度と感情の切り分けについて解説してきました。

お礼奉公にみられる奨学金制度やそれに伴う制約は、あなたをしばる鎖ではなく、「検討材料」の一つとして考えることが大事です。

「辞めたい=すぐ辞めなければならない」と焦る必要はありません。

元病院人事の視点から言えば、制度を正しく理解し、焦らずに状況を整理できる人こそが、最終的に後悔のないキャリアを築くと考えます。

まずは「何が壁になっているのか」を書き出すことから始めてみましょう。

よくある質問(FAQ)

ボードに「Q&A」と書かれたイラスト

お礼奉公中でも看護師は転職できますか?

お礼奉公があっても、制度上すぐに転職できないとは限りません。返済条件や運用方法によって対応が異なるため、内容を確認した上で判断することが大切です。

奨学金の返済が残っていると退職できませんか?

奨学金の返済が残っていても退職自体が禁止されることは通常ありません。返済方法やタイミングを整理した上で、無理のない選択を検討することが重要です。

引き止められた場合、どう対応すればいいですか?

引き止めは感情や慣行によるものと、契約上の条件が関係するものがあります。どこまでがルールで、どこからが配慮なのかを切り分けて考えることが大切です。

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この記事を書いた人

吉澤 宏行のアバター 吉澤 宏行 社会保険労務士・医療機関専門コンサルタント

吉澤社労士事務所代表。社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)として、医療機関の労務と人材課題に専門的に携わっています。
医療機関で25年間事務職に従事。総務、経理、医事、健診部門など幅広く経験を積み、2024年4月に独立。地元・東京都日野市にて医療機関専門社労士として活動中。

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